ソフトウェアの利用状況把握や定着化を支援するプラットフォーム「Pendo(ペンド)」を提供する米国Pendo.ioの日本法人「Pendo.io Japan」は、2月20日に記者発表会を開き、日本における今後の展開について説明した。2023年12月には、新しい日本のカントリーマネージャーとして、花尾和成(はなお・かずなり)氏が就任している。
2013年に創業したPendo.ioは、ベンチャーキャピタルからの資本調達総額が3億5000万米ドル(日本円換算で526億円)に達し、顧客数は1万社(フリー版を含む)、エンドユーザー数は8億人まで成長した。現在はグローバルで8拠点、750名以上の従業員を抱えている。
国内ではChatworkやfreee、ジョーシスといったSaaS企業のほか、KDDIやNECといった大企業にまで導入が進んでいる。
Pendo.ioが掲げる企業ミッションは「あらゆるソフトウェア体験を向上させる」だ。Pendo.ioの共同創業者の一人でありCEOでもあるトッド・オルソン(Todd Olson)氏は、会社立ち上げの経緯を「当時は開発したソフトウェアのユーザーが、その価値を最大限に引き出せていないことに多くの企業が苦労していた。その解決には、提供ソフトウェアに対する深い理解と、ユーザーとのコミュニケーションが必要な点に着目した」と振り返った。
このようなデジタル体験の諸問題は、世界中のあらゆる規模の企業が現在取り組んでいる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の文脈でも当てはまるとし、PendoはDXのパートナーとして企業が順調に成功する手助けをしたいと、オルソン氏は述べた。
また、日本市場も重要視しており、その証左として「日本国内のデータセンター開設(2023年9月)」「四半期に一度ペースのCEO(オルソン氏)の来日」「専任として日本人のローカリゼーション担当者(カントリーマネージャー)の配置」の3点を紹介した。
続いてカントリーマネージャーの花尾氏が、今後の国内展開の戦略を説明した。日本市場についてはPendoは「攻めのIT」と「守りのIT」の2つの視点で貢献できるという。
攻めの視点では、今後デジタル化が加速する中でユーザーの目が肥えていき、使い勝手の悪いアプリは、一個人としても企業としても使われなくなる可能性がある。ユーザー体験(UX)の対応は必須となり、これにはソフトウェアの内製化(協力会社の支援を含む)やアジャイル開発といった開発手法の導入が、競合他社との差別化に必要となる。
一方、守りの視点では、特に人材を中心に資源が限られる国内状況において、投資判断の基準の必要性が一層高まることがある。そこにはソフトウェアの利用状況を見える化し、データに基づいて判断できるようにするPendoが役立つ。
また、ソフトウェアがコモディティ化していく中で、企業に対しソフトウェアを提案するベンダー側も、データに基づいた提案やコンサルティングが差別化する上で求められていくだろうともした。
米国に比べ日本では、消費者の行動分析や顧客体験の影響分析といったUX改善に関わる取り組みの頻度が出遅れているとし、国内で伸びしろがあると指摘する。
これらの課題を解決しうるプラットフォーム「Pendo」について花尾氏は、「UXの最適化によって事業を加速するソリューション」だと説明した。Pendoでは、「利用状況の可視化」「データ分析」「課題の特定」「改善/ガイドの設置」といった、UXを最適化するための主要機能がSaaSとして提供され、一連のサイクルが同一プラットフォーム上で回せるようになっている。
また、Pendoが収集する定量・定性データは、アプリケーションの課題と改善点を明確化し、ビジネスの生産性を高める「BizDevOps」を回す動力源にもなることから、アジャイル開発との相性の良さも言及した。内製化の推進に親和性が高い「ローコード&ノーコードプラットフォーム」や、アジャイル開発や内製化の支援サービスも、戦略的なターゲットとして挙げている。
日本展開する上で欠かせないパートナーエコシステムも重視する見込みだ。
まずはエンタープライズに向けた営業・支援体制を強化し、エンタープライズのアプリ開発を得意するリセラーの積極採用や、パートナーとの協業によるエンタープライズ戦略、グローバル戦略に沿ったクラウドパートナーとのプログラム展開などを行うとしている。対象領域としては、金融、流通・小売、製造、通信を挙げた。
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...
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