アサナジャパンは、日本国内のナレッジワーカーを対象に実施した「AIと働き方の現在地:2025年の日本 -なぜAIだけでは、非効率な仕事がなくならないのか-」の調査レポートを7月29日に発表した。同調査は4月に行われ、2034名から回答を得ている。

同レポートによれば、ナレッジワーカーの週次AI利用率は23%から35%へと増加した一方で、組織全体にAIをスケールできている企業は17%に留まった。また、従来のシステムの上にAIを上乗せすることによって業務プロセスに摩擦が生じたことが、AIの効果を阻害する要因であることがわかっている。
今回の調査を通じて、組織は大きく「AIスケーラー」と「非スケーラー」の2タイプに分かれることが明らかになった。AIスケーラーは複数のワークフローにAIを導入しており、測定、調整、継続的な改善を通じて効果的に運用している組織であり、非スケーラーはAIを試験的に導入して一部の業務に採用しているものの、全従業員への拡大には踏み切れていない組織を指す。
同調査ではあわせて、日本の労働力不足は深刻化しており、AIは労働力不足を補うための必要不可欠な手段とされている一方で、組織の多くはAIを大規模に導入する準備ができていないことが浮き彫りになった。
AIスケーラーは2030年に向けた準備として、従業員のウェルビーイングのモニタリング(31%)、従業員のパフォーマンス評価(30%)、AIシステムの管理(30%)といった、より戦略的なAIの役割を想定しており、AIリテラシーの必要性が高まることで、継続的なスキル開発が求められることが予想される。
AIに関する、経営層と従業員の認識ギャップも明らかになっており、AIによる生産性向上を実感している経営層は56%であるのに対して、一般社員では29%に留まった。また、経営層の58%がAIの実験的活用に意欲的である一方、一般社員は38%に留まっている。
そのほか同レポートでは、AIスケーラーがAIを活用して、
- 連携(Connectivity)の負担
- ベロシティ(Velocity)の負担
- レジリエンス(Resilience)の負担
- キャパシティ(Capacity)の負担
という、「4つの職場負担」を軽減していることを明らかにした。
連携(Connectivity)の負担軽減としては、AIを活用した共通のツールの使用によって、組織横断型のコミュニケーションや業務遂行を促進し、AIを活用することで連携が改善されたと報告する可能性が171%増加している。
ベロシティ(Velocity)の負担軽減としては、AIを活用してルーチン業務の自動化や優先順位付けの最適化を実現しており、AIの活用によってベロシティ(仕事の進行速度)が改善されたと報告する可能性が133%増加した。
レジリエンス(Resilience)の負担軽減としては、AIを活用してリスクを早期に検出し、計画の柔軟な調整を可能にしており、AIを活用することでレジリエンスが改善されたと報告する可能性が157%増加している。
キャパシティ(Capacity)の負担軽減としては、AIを活用してルーチンタスクを自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できるよう支援しており、従業員はAIによって情報を探す時間が短縮されたと答える可能性が161%増加した。
レポートの詳細は、アサナジャパンのWebサイトからダウンロードすることができる。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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