デプスインタビューが過去5年で2倍超成長 グループインタビューにかわり定性調査の主流に
まずは数字でトレンドの変化を見ていきましょう。日本マーケティングリサーチ協会(以下、JMRA)の調査(※1)によれば、国内のマーケティングリサーチの市場規模は2022年と2017年では120%成長です。内訳を見ると伸び率をけん引するのは定性調査で152%成長。さらにその中でもデプスインタビューは225%成長と過去5年で2倍以上の成長を記録しており、金額ベースでも2017年の89億円から2022年は201億円と急増しています。従来、定性調査といえばグループインタビューが主流とされてきましたが、近年はデプスインタビューが主役にと、逆転現象が起きています。
デプスインタビュー急伸の前提には社会全体のオンライン・デジタル化があります。
グループインタビューが主流だったオフラインの時代において、デプスインタビューはいわば「ぜいたく品」でした。例えば、会場に5人の方にお越しいただくとした場合、グループインタビューならモデレーターの稼働が一度で済むところ、デプスインタビューでは単純計算で5倍の稼働コストと時間がかかります。グループインタビューはコスパよく多人数に聞ける手段として人気でした。
しかし、コロナ禍を経てリモート会議が浸透する中、定性調査も会場ではなくオンライン実施が当たり前となりました。すると、参加者同士のシナジーが醍醐味であったグループインタビューは、表情や雰囲気を共有しにくいオンライン環境ではそのメリットを活かしきれず、実施可能なシーンが限定される手法となってしまいました。
業種業界により、引き続きグループインタビューが有効であるケースは現在も多くあります。しかし「定性調査といえばグループインタビュー」というリサーチ業界の常識には変化が起きているようです。JMRAの調査でもデプスインタビューは71.1%がオンラインで実施されているのに対し、グループインタビューは52.4%となっています。