各ユーザーフェーズで提供していくべきUX
次に、アプリのAARRRモデルに沿ってどんなUXを提供していけばいいか、代表的な例を挙げていきます。各フェーズにおいて、コミュニケーションや体験を適切に変化させていくポイントがあります。
1. 獲得(Acquisition)フェーズ
このフェーズでは、アプリストアでの表示や、広告などの体験が重要です。
例えばランディングページ(LP)とアプリストアでキャッチコピーが違えば、ユーザーはどんなアプリなのか、何を期待して使えばいいのか迷ってしまいます。違う目的を持って入ってきてしまうと、定着させる施策や効果測定も難しくなります。伝えたい人に伝わるクリエイティブになっているか、競合より良いイメージを持って使ってみたいと思ってもらえる訴求ができているか、確認しましょう。
▼ポイント
- Webサイト、LP、アプリストアでの一貫性のある情報とクリエイティブ
- 目的のユーザーに伝わる、ダウンロードと初回起動を促進するクリエイティブ
2. 活性化(Activation)フェーズ
アプリをダウンロードしてからのフェーズです。
ここで提供したい体験はまずはオンボーディングです。初めて触る人が離脱してしまうことを防ぐための、チュートリアルやガイドを提供しましょう。
そのためには、初期目標の設定も必要です。アプリを初回起動した時にまずはここまで触ってもらえたら目的達成、というゴールがどこなのか、ビジネスオーナーやプロダクトマネージャーが決めておきます。
最初からすべての機能を使ってもらうことは難しいので、オンボーディングはそのゴールを達成してもらうまでのものを提供します。
これらはユーザーにアプリの機能やメリットを理解してもらうために必要なステップとなります。ユーザー自身にも「アプリの利用目的が達成できた」と分かるような体験設計を心がけましょう。
▼ポイント
- 初期目標設定の明確化と効果的なオンボーディングの提供
- ユーザーが達成感を得られるような体験設計
- アプリの機能やメリットを理解してもらうことが目的
3. 継続(Retention)フェーズ
利用開始してくれたユーザーのエンゲージメントと満足度を高め、継続利用を促進するフェーズです。
パーソナライズされたコンテンツなど、その人に最適な体験や情報を提供していくことが効果的です。これにより継続利用してもらいながら、顧客ロイヤリティの向上を目指していきます。
例えば、お買い上げ額に応じたクーポンや、しばらくアプリを離れていたユーザーを対象とした「おかえりキャンペーン」などの施策がこのフェーズの企画になります。
▼ポイント
- パーソナライズされたコンテンツや最適な体験・情報の提供
- 購買履歴に応じたクーポンやおかえりキャンペーンなどの施策
- 顧客ロイヤリティの向上が最終目標
4. 紹介(Referral)フェーズ
口コミやシェアを通じて新規ユーザーを獲得し、ブランド認知を広げるフェーズです。
ここで必要なのは、まずはユーザーがアプリを紹介できる仕組みの提供です。シェアボタンや紹介プログラムなど、機能や施策を用意しましょう。インフルエンサーマーケティングやプロモーションなど、アプリの外の施策との連携もできると良いでしょう。
▼ポイント
- シェアボタンなど紹介機能の実装
- 紹介プログラムの提供
- アプリの外の施策との連携(インフルエンサーマーケティング、プロモーションなど)
5. 収益(Revenue)フェーズ
アプリの種類によって異なりますが、ECやゲームアプリなどで該当するフェーズです。
このフェーズで提供したい体験は明朗会計です。Webサイトであれば別途タブを開いて検索して戻ることもできますが、アプリではそのまま離脱につながってしまいます。そのため、アプリ内で完結させられるよう、他で調べなくても購入までいけることが大切です。
購入導線やログインのフローも極力簡素化し離脱しにくいようにして、収益を最大化する体験を提供しましょう。
▼ポイント
- 明朗会計と分かりやすい価格設定
- シンプルな購入導線やログインフローの簡素化
このようにAARRRモデルを軸にフェーズごとに体験を設計することで、フェーズ間の移行をスムーズにし、アプリの成長とユーザーの育成、ビジネスゴールの達成につなげていくことができます。