高橋一生(Kazuki Takahashi):株式会社エクスプラザ 代表取締役CEO(写真左)
複数のスタートアップの共同創業を経て、株式会社メルカリにプロダクトマネージャーとして入社。その後株式会社エクスプラザを創業し、2023年より生成AIの法人導入支援「EXPLAZA 生成AI Partner」を開始。2024年6月より、生成AIのPoC開発やAXを支援するパッケージ「ハタアゲ」、同年9月より、コンテンツ作成AI「Mark」を展開中。
宮田大督(Daisuke Miyata):株式会社令和トラベル プロダクトマネージャー(写真右)
NTTコミュニケーションズのような大きな企業からメルカリや楽天のようなメガベンチャー、またエクサウィザーズのようなAIもしくはGaudiyのようなWeb3スタートアップと幅広く業界を経験。UXリサーチ、デザインなどを軸足に、現在は令和トラベルにてML(Machine Learning)チームのリーダーとして奮闘中。
使用している技術スタックと、技術選定における考え方
高橋:使っている技術について教えてください。
宮田:特別なものを使っているわけではないです。使っているモデルとしてもChatGPTやClaudeなど一通りのものは使っていますが、大事にしていることとしては、エンジニアでなくても改善できるようにDifyでシステム構築をしていますね。
高橋:すべてDifyというわけではないですよね? 業務効率化の例にあったようなものは、コーディングして組んでいるものもありますよね。
宮田:おっしゃるとおりです。コーディングする場合は、一度作ってしまえば基本的に改善の必要がなくルーティンとして動き続けるものという定義が多いです。逆に改善していくべきものの例でいくと、最近PRチーム向けに作ったプレスリリース記事チェッカー。現場メンバーでもすぐにルールやプロンプトを変更して動かすことができるようにしています。
高橋:業務フロー自体をアジャイルにやるべき・やりたいという中で、それを現場メンバーが担当していくという場合においては、Difyといったローコード/ノーコードツール(コーディングを行わず開発も可能なツール)は相性が良いですね。
宮田:はい。先ほど事例として話した旅行ツアーのタイトルの自動生成に関しても、クリエイティブディレクターの方がトンマナを作るために触ることができる環境を構築しています。
とはいえ、こうしたツールの限界もあります。DifyでもRAG(Retrieval-Augmented Generation)で込み入ったこともできますが、最新の論文に書かれているようなことまではできないので、実験の一つとしてやりたいよね、という場合はコーディングで構築するということもあります。
高橋:エンジニアメンバーと他の現場メンバーとで推進していくにあたって、課題となったことはありますか?
宮田:エンジニアメンバー的には正直コーディングの方が進めやすいこともあると思います。とはいえ改善スピードを上げるためにこうしたツールを使うほうがいいよねという中で、双方に寄り添ってもらう必要はあります。
作り手と現場メンバーを巻き込んだ共創は、令和トラベルとして率先してやっていきたいポイントです。「お客さま向けのコンテンツ生成」に関しても、AIの立ち位置はあくまで補完的で、純粋にコンテンツを生成してもファクトが間違っていることがあります。現段階ではいわゆるハルシネーションが起きてしまうので、お客さまにとって満足できるコンテンツを作るうえでは、人間が介入することはとても重要なポイントだと思っています。令和トラベルでは、トラベルコンシェルジュや旅行記事を作成する専門家に参画していただいています。一つひとつの記事に対して約1時間強かけて確認・修正を繰り返す仕組みを作っているのは非常にこだわっています。
高橋:生成AIに純粋にコンテンツを生成してもらっても、抽象的だったり模範的だったりすることが多いですよね。そこに有識者を巻き込んで独自性を作っていくのは大事ですね。