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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

イベントレポート

「リアルタイムで解像度の高い行動分析がプロダクト改善を加速」──大手企業でも導入が進むプロダクト分析プラットフォーム

三井住友海上火災保険の営業支援システム「MS1 Brain」における「Pendo」の導入

 保険代理店向けにAIによる営業支援システム「MS1 Brain」を提供し、会社の新しいビジネスモデルを構築しようとしている三井住友海上火災保険。保険の成約率が3倍になるなど、一定の成果を収めた上で、現在はプロダクト分析プラットフォームの「Pendo」を導入することで、ユーザーの深い理解と、データに基づく意思決定により、進化の速度を上げようとしている。本稿では、その詳細が明かされた「AI×プロダクトデータフォーラム 2024」(6月13日開催)における発表内容をレポートする。

会社の新たなビジネスモデルを生み出す、AIを搭載した営業支援システム

 損保業界初(当時)のAIを搭載した代理店営業支援システムとして、三井住友海上火災保険が国内で3万店以上のネットワークがある保険代理店にむけて2020年2月にリリースした「MS1 Brain(エムエスワン・ブレイン)」。講演では、「MS1 Brain」の開発チームをリードする飯間昭夫氏が発表した。

三井住友海上火災保険株式会社 ビジネスデザイン部 MS1 Brainチーム 課長 飯間昭夫氏
三井住友海上火災保険株式会社 ビジネスデザイン部 MS1 Brainチーム 課長 飯間昭夫氏

 飯間氏が所属するビジネスデザイン部では、役割として「お客さまへの提供価値の変革」「同社のイノベーション企業への変革」の2つがあり、特に飯間氏は、後者において会社のビジネスモデルを変える仕組みを作るため、「MS1 Brain」を開発している。

イノベーション企業への変革の打ち手としての「MS1 Brain」(講演資料より)
イノベーション企業への変革の打ち手としての「MS1 Brain」(講演資料より)

 飯間氏はもともと営業畑で、2018年に新設されたデジタル戦略部に異動するまで、どちらかというとデジタルから遠いところにいた人間だという。営業の第一線を知る、つまり代理店(ユーザー)の気持ちや実際のビジネスを知る人材としてプロジェクトリーダーを担当することになり、2020年2月に「MS1 Brain」をリリース。

 その後、コロナ禍を経て2021~2023年まで、出資先である保険の米スタートアップ「Hippo」に出向し、最先端のデータ活用やUXを学んだ後、「MS1 Brain」の専門チームの立ち上げに伴い帰国した。現在は、「AI インフィニティラボ」という社内有志によるAIの探索活動も行っている。

 「MS1 Brain」は、代理店向けの基幹業務システム「代理店MS1」の上に構築された、AIを搭載した代理店営業支援システムで、簡単に言うと、CRM(顧客管理システム)とSFA(営業支援システム)を合わせたものとなっている。主な機能としては、Webを介した面談・手続きといった「リモート接続」、お客さまごとに適した特約や補償を紹介する「パーソナライズド動画」、ハイパフォーマーな営業のノウハウを提供する「ネクストベストアクション(NBA)」、ダッシュボードで構築されている経営者向け機能「経営者メニュー」などを備えている。

 コア機能は、AIを使った「ニーズ予測分析」で、お客さまの保険加入ニーズを予測し、リード(見込み客)として代理店に知らせるものとなっている。NECが国内販売を手がけるデータ分析プラットフォームの「dotData」を利用して実装されており、代理店が所有するお客さま情報、保険会社が所有する契約・事故データ、企業情報などの外部データを掛け合わせる形で実現している。

「MS1 Brain」のメイン機能であるニーズ予測分析(講演資料より)
「MS1 Brain」のメイン機能であるニーズ予測分析(講演資料より)

 「MS1 Brain」の導入により、システムのユーザーである代理店は、お客さまのニーズを踏まえた、より適切な提案活動ができるようになり、優先順位付けや精度の向上により、成約率が3倍になったという。

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運用段階にあたり直面した、プロダクト利用状況の把握とデータ活用の難しさ

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

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