プロダクトを事業として成功させる「検証と資産化」の考え方とは
タップル社の組織体制づくりにおいて、“検証”と“資産化”という造語がキーワードになっている。“検証”は開発によって成果を生むことを指し、今はない機能を開発してユーザーに当てていくもので、PRDに基づく開発を伴う。“資産化”は運用によって成果を生むことを指し、すでにある機能やパッケージを利用/変更するなどして価値を高めることとしている。資産化は、タップル社ではプロダクトチームが担うが、他社ではマーケティングチームが担うことも多い。"検証”で効果が確認された機能を“資産化”し、開発なしで運用できる状態にすることを重視している。
高橋氏は「基本的には何がどう当たるか分からないため、要件・要求をつめて開発とリリースは行っているが、検証する中で“勝ちパターン”と判断されたものは資産化を図り、分析とリリースだけで事業を伸ばしていく。検証と資産化をしっかりと明確化して取り組むことを大事にしている」と語る。資産化の判断基準としては、ユーザーレコメンドロジックや売上に直結する仕組みなど、運用によって明確にアウトカムが出る可能性があるかが重視されている。また、検証は小規模に行い、資産化する際には将来を見据えた要件定義と実装を意識するという。
「何を資産化すべきなのか」「自分たちでつくるべきなのか」を見極めることは重要で、判断軸は「サービスの核となる機能かどうか」になる。例えば、レコメンドロジックや趣味タグなどは自社で開発すべきであり、プッシュ通知や顧客に応じた訴求の切り替えなどはグローバルスタンダードな仕組みを活用すればよい。また、そこに信頼できるベンダーが機能を追加していくケースもあり、その活用も有効といえる。
いわば、サービスの核ではない、ノンコアな部分については外部ソリューションの活用が望ましく、そこにBrazeを活用しているという。Brazeは「リアルタイムエンゲージメントを実現する次世代アーキテクチャプラットフォーム」であり、さまざまなソリューションやAPI、SDKなどとリアルタイムにデータ連携が可能で、データの取り込みからセグメント化、シナリオ設計、パーソナライズ配信まですべての処理をリアルタイムで実行できる。またアプリ内のポップアップなどの反応結果もリアルタイムに利用できる。
Brazeは、ForresterやGartner、IDCなど主要な評価機関からオムニチャネルマーケティング分野のリーダーとして認められており、AIを活用したレコメンデーション、送信時間の最適化、送信チャネルの最適化、コンバージョンの相関分析など多くの機能を提供している。
今後、短中期的には「Project Catalyst(プロジェクト・カタリスト)」として、セグメント作成からコンテンツ作成、配信、分析までの全プロセスの自動化を目指している。具体的には、配信結果に基づく価値の高いオーディエンスの自動識別・生成、文脈に応じたクリエイティブの調整、配信前の結果予測や改善提案など、AIによる業務効率化を進めている。これらの機能を通じて、タップルの検証と資産化の取り組みを加速させることを目指すという。