開発組織における「チーム」の役割と重要性
1つのプロダクト開発を成功に導くためには、複数の専門チームが協力し、各自の役割を最大限に発揮することが欠かせません。プロダクトの成長を支えるのは、個々のメンバーの主体的な行動と、チーム全体の調和です。これにより、単なる個人の成果が組織全体の価値(プロダクトの完成)として結実します。
特に、プロダクト開発には、異なる専門性や視点を持つチーム(プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー、プロダクトマーケティングマネージャー、プロダクトデザインチームなど)が集います。それぞれが違うバックグラウンドを持ちながらも、共通の目標に向かって進むためには、日常的なコミュニケーションの質を高め、チームビルディングを積極的に進める必要があります。これが、開発組織における持続的な成長の基盤となるのです。
「ヒエラルキー型組織」が、現代の開発組織のチームビルディングに最適とは言えない理由
日本の多くの企業では、ピラミッド型の階層構造を持つ「ヒエラルキー型組織」を採用することが一般的です。背景としては「権限」と「責任」が明確であることから、組織の秩序を保ちやすく、意思決定や問題解決がスムーズに進むという利点があります。
しかしながら、開発組織の現場から見ると、この構造が抱える課題は非常に大きいと言えます。例えば、各部門が縦割りになることで部門間の連携が弱まりやすくなったり、プロダクトに関する意思決定をトップダウンで行いすぎてしまうことが市場の素早い変化に合わせた迅速な開発を阻害したり、というケースが多々発生します。
特に、市場が急速に変化する現代では、現場の判断力を活かした柔軟な意思決定が求められると感じています。その点で、ヒエラルキー型組織ではそれが実現しづらいと考えています。
私たちjinjer社でも、ヒエラルキー型組織の限界を実感しました。当社は人事労務システムを提供していることから、毎年改正される法に対応し続けたり、人的資本情報開示の義務化など、市場のスピーディな変化に対して迅速な開発をしたりする必要があります。そのため、これらの変化に追随し、ユーザーへ迅速に価値を届ける必要があるプロダクト開発現場において、意思決定が遅れることは致命的です。上層部に依存する意思決定プロセスは、現場の状況を的確に反映できず、結果的として市場に寄り添った開発ができない「スピード」と「精度」を欠く事態を招いていました。
このように、私たちはヒエラルキー型組織の限界を認識し、より柔軟な組織モデルへの転換を進める必要性を感じました。当社の過去の状況から見ても、開発組織における「チーム」の在り方として、ヒエラルキー型組織は最適ではないと考えています。