LT2:「ICE/RICE/DRICEで成果を引き出す──フレームワークの実践と罠」
- 発表者:ウルフ松陰氏(松下村塾株式会社 代表取締役 CEO)
2人目の登壇者は、松下村塾株式会社の代表を務めるウルフ松陰氏です。施策評価に用いられるスコアリング手法の代表格であるICE、RICE、DRICEについて、自身の見解を交えながら実務的な活用方法を解説しました。
推奨は「ICE一択」──シンプルで再現性の高い手法
ウルフ氏が主張したのは、「フレームワークをあれこれ取り替えるより、ICEを正しく使うことが重要」という点です。
- Impact × Confidence × Easeというシンプルな3軸構成で、属人的な判断を排除しやすい
- 定量化の際は0〜10点ではなく、Tシャツサイズ(XS〜XL)に変換することで直感的に扱える
- スコアごとの意味合いをチームで定義しておくことで、判断基準がぶれにくくなる
特に「Confidence(確信度)」はあいまいになりやすいため、裏付けのある定義づけと共通理解が重要だといいます。

DRICEやRICEは不要?──「プロダクトマネージャーの意思決定とは何か」
最近注目されているRICE(Reachを追加)やDRICE(Decision要素の強化)についても触れつつ、ウルフ氏は次のように言います。
「リーチはインパクトに含めればいいし、DRICEで言う『再評価』は提案前に済ませておくべき話」
つまり、スコアリングとはあくまで「施策の目利き」であり、プロダクトマネージャー(PdM)としての意思決定はデータ分析やABテストを踏まえて自ら下すべきものだと語りました。

総括
ウルフ氏の登壇は、優先度フレームワークの「形式だけの運用」に一石を投じる内容でした。ICEスコアは、丁寧に定義づけて使えば、現場に最適化された「議論の共通言語」となります。小手先の手法ではなく、「運用の精度」を高めることこそが成果への近道であると感じさせられました。