3.4 ギャップを明確にし、優先順位をつける
業界と会社の「未来と現在地」が見えてきたら、ようやく戦略設計のスタートラインに立てます。PMがやるべきは、そこから「差分(ギャップ)を明確化し、それをどう埋めるかを考えること」です。
- 競合がSaaS化を進める中、自社はオンプレに縛られている
- 社長はAI活用をビジョンに掲げているが、現場に技術リソースがない
- 海外展開が成長ドライバーだが、社内には英語対応の仕組みが皆無
こうしたギャップを列挙し、そこに優先順位をつけていくことで、戦略が“現実に即したアプローチ”へと姿を変えていきます。
優先順位をつける軸は、以下のような観点が役立ちます:
- 影響範囲が広いか(事業インパクト)
- 競争優位につながるか
- 短期で実行できるか(着手ハードル)
- 中長期でポジションを築けるか(資産性)
戦略とは、「何をやるか」を決める作業であると同時に、「何をやらないか」を決める意思決定の連続なのです。このように、ギャップを埋めるためにどのアプローチを取るべきかを整理し、短期・中期・長期の視点でロードマップを作ることが、1人目PMの戦略設計と言えるでしょう。
まとめ:「戦略とは、“差分を埋める架け橋”を設計すること」
1人目PMが描く戦略とは、「良いことを全部やる」計画ではありません。限られた資源で最大の成果を出すために、“未来と現在の差分”を埋めるための、現実的な道筋を設計する行為です。
業界⇔会社/未来⇔現在の4象限を俯瞰して捉え、ギャップを可視化し、優先順位をつけて、いまやるべきことに集中する。これが、1人目PMが描くべき戦略の基本構造です。
次回は、この戦略を“誰と、どう実行していくか?”にフォーカスを移します。チームとの信頼関係をどう築き、共に動く組織をつくっていくのか──第4回「チームと協働するために」に続きます。