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ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

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1人目プロダクトマネージャーの教科書 ~成長の立役者になるには~

1人目PMが次に進むべき道

1人目プロダクトマネージャーの教科書 ~成長の立役者になるには~ 第6回(最終回)

 本連載は、プロダクトマネージャーの蜂須賀大貴さんがご自身の経験をもとに、会社として1人目となる専任のプロダクトマネージャーは、どのようなマインドを持ち、いかに立ち振る舞うべきなのかを具体的に記した実践入門です。プロダクトマネージャーとして、一つ上の視座を持ちたい、キャリアアップを図りたいという方にもオススメです。最終回となる第6回のテーマは、「キャリアの次のステップ」について。(編集部)

はじめに──個の成果から、未来を担う存在へ

 この章では、1人目プロダクトマネージャー(以下、PM)が「スケールのフェーズを終えた後、どこに向かうべきか」という問いに答えます。

 これまでの回で語ってきたように、1人目PMに求められるのは「まず自分が成果を出し、再現性のある組織を作る」ことでした。そこまで到達したPMは、いよいよ「個の成果」から「組織・事業の未来を担う存在」へと進化する岐路に立ちます。

 本稿では、その進化の方向性と乗り越えるべき葛藤、さらに連載の締めくくりとして皆さんにお伝えしたいメッセージをまとめます。

6.1 権限委譲が進み、組織がスケールした先にあるもの

 スケールフェーズを超えた1人目PMが次に目指すべきなのは、「自分の仕事の延長」ではなく、「まったく異なる仕事」です。

 再現性ある仕組みを整え、周囲に権限を委譲し、プロダクトが安定的に前進するチームができた──その先にあるのは、次のいずれか、または複数のキャリアオプションです。

  • PMチームの統括(Director of Product Management)
  • 経営直下での事業成長責任(VPoP/VPoEとの協働)
  • プロダクト全体の長期戦略を描くCPOポジション
  • 新規事業・新規プロダクトの創出と育成
  • 事業開発や経営企画との橋渡し役としての事業責任者

 いずれにも共通しているのは、視座をさらに上げ、抽象度の高い判断を担う必要があることです。もう、仕様の粒度を決めることが主な仕事ではありません。チームが決めた仕様が事業全体にどう貢献するか?という「意義と連動性を見抜く力」こそが問われます。

6.2 プロダクトの戦術から、事業全体を見通す視座へ

 このフェーズでの最大の変化は、自分がプロダクトの意思決定を担う立場から、プロダクトを生み出す「構造」や「事業の伸びしろ」を見る立場に移ることです。

 PM業とは、往々にしてプロダクト戦術──PRDを書く、UXを設計する、リリース日を詰める──に引っ張られがちです。しかし、スケール後のフェーズでは「PMチームとして成果を出す」ではなく、エンジニアやデザイナー、CS、BizDevを含むチームや、時にはその外側も巻き込みながら「事業を前に進める構造そのもの」を整える役割になります。

 このとき意識したいのが、組織よりもまず「事業の成長」を優先するという視点です。もちろん、PMチームの拡充や教育も重要ですが、リーダーたるもの、よりインパクトの大きい場所に身を投じるべきです。

 例えば、

  • 新たな市場をどう開拓するか?
  • PMFを過ぎたあとのステップチェンジを、どうもう一度立ち上げるか?
  • プロダクト同士のシナジーをどう設計するか?

といった問いに向き合うべき時が、今なのです。

次のページ
6.3 「現場の楽しさ」から、「次の楽しさ」へ

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この記事の著者

蜂須賀 大貴(ハチスカ ヒロキ)

Newbee株式会社 代表 / プロダクトマネージャー IMAGICA Lab.でエンジニアとしてキャリアを開始後、複数企業でプロダクトマネジメントおよび開発組織の立ち上げに従事。サイカではHead of Productとしてプロダクト戦略をリードし、事業成長に貢献。PIVOTではプロダクトマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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