プロダクトチームにテスト文化を築く方法
テスト文化を築くためのプロセスを見ていきましょう。
ステップ1.テストをコアバリューとして定義する
テストの重要性をチームに伝え、それを会社の目標に設定します。会社全体の価値観に加えて、テストを促進するチームの価値観を作成すること(役職や会社の規模によっては難しい場合もありますが)を検討してみてください。例えば、この価値観には次のような要素を取り入れます。
- 意見ではなくデータを使って意思決定を行う
- 結果やテストを広く共有する(チーム内や会社全体など)
- 小さなテストを実施(リスクを抑えるため)し、イテレーション(反復型開発)を行う
- テストの「失敗」は失敗とせず、 次に進むためのデータと捉える
プロダクトチームによって、適切なコアバリューや優先事項は異なるかもしれませんが、自分の担当するチームでテスト文化を築くためには、テスト文化がどのようなものかを明確にすることから始めましょう。
ステップ2.構造的なテストプロセスを作成する
構造化され、文書化されたテストプロセスは、プロダクトチームがテストを実施し、運営する際のサポートになります。いくらテストが重要でも、テストのやり方を知らなければ何も進みません。
プロセスでは、テストの提案の仕方、優先順位の付け方、文書化のやり方を明確にする必要があります。各テストには仮説、成功指標、そして明確な目標を設定しましょう。
ステップ3.チームに適切なツールを提供する
テストの実施には、チームがデータにアクセスでき、そのデータを分析できるツールを持つ必要があります。データウェアハウスに接続するセルフサービス型の分析ツールであれば、データアナリストの助けを借りることなく、リアルタイムのデータを追跡し分析できます。また、テスト結果に簡単にアクセスできるので、ダッシュボードを作成して組織全体でインサイトを共有することも重要となります。
ステップ4.高速なフィードバックループを作成する
テストはスピーディに進めることで最も効果を発揮します。短い反復サイクルにであれば、チームは新しいインサイトに迅速に適応でき、価値を生まないアイデアに余計な時間を費やさないで済みます。
テストに関してのディスカッションを毎日または毎週のミーティングに組み込んで、アイデアをブレインストーミングしたり、進捗を共有したりします。また、ポストモーテム(改善点を見つける会議)を推進して、学んだ教訓を文書化し、その学びを今後の実験に活かすことも重要です。
ステップ5.テストの取り組みに報奨を与える
ポジティブなフィードバックは、確実に持続的な良い変化を生み出す最も効果的な方法です。たとえ結果が成功につながらなくても、しっかり構築されたテストを実施したチームを褒めてあげましょう。失敗したテストから得られた学びに価値がある、という考えを強化します。テストをパフォーマンスレビューとして取り入れ、チームメンバーがテストを自分の仕事にとって重要であることを理解してもらえるようにしましょう。
テストの事例:Spotify
音楽ストリーミングプラットフォームのSpotifyは、大規模なテストを行うことで知られています。実際に、年間250回以上のテストを実施しており、この広範なテスト文化は、企業の成功の大きな要因となっています。
Spotifyのブログでは、「透明性とコラボレーションの文化を育んできました。各テストのバリアント(バージョン)を詳細に検討し、エラーを最小限に抑え、すべてのリリースにおいて、ユーザー体験の向上のための貴重かつ実行可能なインサイトを確実に得られるようにしています」と語っています。