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トヨタ生産方式をツール化。「Jooto」が業務管理「標準の箱」を開発、事務・技術職も活用

 PR TIMESの提供するタスク・プロジェクト管理ツール「Jooto(ジョートー)」は、トヨタ自動車からの依頼を受けて、「TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)」の思想に基づく業務管理ツール「標準の箱」を開発したことを、11月27日に発表した。

 TPSは、「ムダの徹底排除の思想に基づいて、お客様によい物を安くタイムリーにお届けする」というトヨタ自動車の経営哲学であり、企画〜設計〜生産〜販売、および人事や経理といった間接部門全般を含む、すべての部門で追求され、全従業員が日々改善を積み重ねている。

 トヨタ自動車ではTPSを基本思想に、それぞれの職場において「標準作業」(現時点で考えられるもっとも効率的で品質のよい作業方法)を確立して、基準通りできなかった事実を「異常」と捉えることによって、継続的に改善される風土の醸成を図ってきた。

 Jootoは、「デジタルの力で仕事の停滞をなくす」ことを掲げており、業務のボトルネックへアプローチし続けていくという点でTPSの考え方と合致したことから、トヨタ自動車による独自の業務管理ツール開発依頼に至ったという。

 トヨタ自動車独自の業務管理ツールは、TPSの思想をベースにした「標準の箱」(体系化された業務標準)という概念に基づいて、業務標準の「見える化」と「共有」を実現すべく、2023年8月に開発が開始された。

 2023年度には、TPSにおけるものの見方・考え方を反映した業務のあるべき姿を描いて、標準の箱の基本構想を策定した。既存の市販ツールによる代替可能性を検討(ベンチマークスタディ)した上で、TPSで使用する「物と情報の流れ図」を取り入れたツールの要件定義、およびプロトタイプ設計が開始された。

 2024年度には、トヨタ自動車の特定部署においてプロトタイプのトライアル利用を行って、利用者からのフィードバックをもとに機能追加やUIの改善が実施されている。

 2025年度には、全社利用を視野に入れた正式版がリリースされ、導入から7か月で900名を超える事技系社員が利用した。2026年1月からは、「TPS道場」(トヨタ自動車社内の事務や技術を担う「事技系社員(人事や経理、広報、部品調達、設計開発など)」向けの研修)における研修ツールとして採用されることが決定しており、さらに多くの業務領域への社内展開が行われる。

 標準の箱は、単なるタスク管理に留まることなく、標準業務プロセスの体系化、生産性と品質の向上を目指す改善活動、標準に基づいた作業と進捗の管理、報告業務の効率化を包括的に支援する。

 具体的には、TPSにおける「物と情報の流れ図」の描画を容易にすることで、改善活動の支援を行う。あわせて、業務標準を「見える化」して組織内での「共有」を可能にするとともに、標準に基づいた業務の進捗、成果物、異常処理の履歴などを一元管理できるようにする。

 標準の箱の使用による担当者にとってのメリットは以下の通り。

  • 改善活動の質向上と工数削減:業務のムダを可視化しやすく、改善の着眼点が得やすい
  • 手順に沿った作業の実行:リマインド機能や標準手順書の活用で作業の抜けを防止
  • 報告工数の削減:自動集計機能で進捗や成果物を簡潔に把握・報告可能
  • 他者の仕事からの学習・応用:他部署・他者の標準を参照し、自身の業務に応用可能
  • 計画立案の効率化:標準リードタイムと納期設定による自動スケジューリング

 管理者にとってのメリットは以下の通り。

  • 情報集約の工数削減:担当者からの都度報告に頼らず、進捗状況を常時可視化
  • 異常の見える化と早期対応:日々の進捗がリアルタイムに把握でき、早期の対応が可能
  • プロセスの統一と進捗管理の質向上:各業務を共通のリードタイムで比較・管理できる

 2026年度以降は、標準の箱の社内利用拡大を図って、事務職・技術職を問わず生産性向上と業務品質の向上を支援していく。ユーザビリティの向上や、他システムとの連携性を高めるための改善を継続的に実施して活用成果を検証する。将来的には、業種を問わない業務標準化支援ツールとしての展開(外部提供)も視野に入れて検討中だという。

 Jootoは、「誰でも、簡単に、直感的に使える」クラウド型のタスク・プロジェクト管理ツールで、タスクごとにチャットやファイル添付、担当者割り当てが可能で、業務に関わる情報を一元管理できる。今回の、トヨタ自動車からの委託による標準の箱の開発では、Jootoに実装されている「かんばん」「ガントチャート」機能を生かして開発が行われた。

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