変化するAI時代に求められる働き方とスキル
AIの進化は働き方そのものを変えます。生成AIは幅広い知識から回答を提案する「物知りな参謀」、AIエージェントは指示に基づいてツールを操作しタスクを進める「業務実行役」として捉え、社員が複数のAIを適切に組み合わせ、人が最終判断・監督を行いながら高い生産性を発揮する世界が訪れます。
そこで重要なのは2つの力です。
1.AIに適切な指示を出す力
AIはあくまでツールです。「AIに何をさせたいのか」「その出力をどのように事業や業務に活かすのか」という明確な目的意識がなければ、その能力を最大限に引き出すことはできません。そのうえで、期待する結果を得るためにはどのAIに指示を出すのがよいのか、どのような指示の仕方をすればよいのか、といった指示の精度を上げていくことが真の生産性向上につながっていきます。
2.専門知識や経験などの暗黙知
同時に、AIの出力が本当に正しいか/ビジネスで使える水準かを判断するには、当該業務に根ざした知識と経験が不可欠です。AI時代には、特定領域で長く実務を重ね、暗黙知を含む深い業務知識を持つ「職人」の価値がむしろ高まります。実際に当社でも、特定プロダクトに10年以上関わってきたベテラン社員が生成AIを使いこなし、他の社員の5倍、10倍のアウトプットを生み出す事例が生まれています。「明確な目的設計」×「的確な指示」×「暗黙知に基づく見極め」──この掛け算が、AI活用の成果を決定づけます。
ここで強調したいのは、AIは自分の仕事を奪う存在ではなく、能力を拡張し、より付加価値の高い業務に集中させてくれる「並走パートナー」という点です。それは最終的に個人の市場価値をも高めることにつながるので、脅威として敬遠せず、ぜひ積極的に活用してほしいと思います。
まとめ:今後の課題と目標達成へのコミットメント
当社では社員のほぼ100%がAIを活用する段階に到達し、下地は整いました。これからの課題は、社内利用の「効率と質」をさらに高めること、そしてお客様からのフィードバックを受けながらAIエージェントの機能拡充や精度を着実に引き上げていくことです。
AI活用は試行錯誤の連続であり、現段階ではうまくいかないことが多いのも実情です。そのため、「この領域・業務をAIで効率化する」という断定的な活用の仕方よりも、まずはボトムアップでの成功事例を吸い上げつつ、トップダウンで全社展開しその後PDCAを回していくような進め方の方が、うまく成果につながっていくと思います。
CAIOとして、AI活用を通した事業への貢献というミッションはありますが、あくまでもAIは手段と捉え「真にお客様の業務改善に役に立つ製品をつくる」という芯の部分はこれまでと変わりません。
AIという新たな技術を味方につけ、さらなる成長を目指していきます。
次回予告
次回は、より現場に近いAI活用について解説します。ぜひご期待ください。
