リアルな業務への深い入り込みとスピードが命運を分ける
機能そのものの優位性が薄れる中、競争を勝ち抜くためのもう一つの鍵が「現場のオペレーションへの入り込み」と「組織のスピード」である。カケハシの中川氏は、現実のビジネス環境には未だに紙やExcelを使った労働集約的な業務が大量に残っていると指摘する。
「私たちの領域だと、薬局での日々の業務オペレーションで、紙と情報と患者さんがいて、というリアルなフローの一部に組み込まれているため、スティッキネス(粘着性)が非常に高いのです。導入するのは大変ですが、オペレーションの一部に組み込まれている以上、非常にモートが高い状態になります」と中川氏は語り、今までのソフトウェアが届かなかった領域に入り込むことで、新たな市場が開けると展望する。
LegalOn Technologiesの角田氏は、これからのビジネスは「プロスポーツ」のようになっていくと表現する。「一度世界一になっても、トレーニングをやめた瞬間に次の世代の後輩に負けてしまいます。(中略)速度を出せる組織やオペレーションこそがモートになるのであって、機能そのものがモートになるわけではありません」と語り、プロダクトを生み出し続ける組織能力と、Go-to-Market(市場進出)のオペレーションの総合力がモートになると断言した。
開発コストが下がった分、空いた時間をGo-to-Marketの強化やビジネスモデルの構築に投資すべきだとSmartHR芹澤氏は提起する。またカケハシ中川氏は、顧客の本当のニーズを見極め、思想や哲学を突き詰める作業にこそ「美学が宿る」とし、「より重要な部分に職種としての輝きが凝縮されていくというイメージを持っています」と締めくくった。
次回の後編では、AI時代における組織のあり方や、ジュニア採用の是非、そしてプロダクトマネージャーに求められる新たなスキルについての熱い議論をお届けする。
