本記事は、ソフトウェア開発者向けのオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」からの転載記事です(オリジナル記事)。
サービスの課題を抽出、どこから手をつけるかの判断基準を探る
うるる社は社会課題でもある労働力不足を、ITを使ったマッチングシステムで改善を目指す企業。データ化業務の受託やクラウドワーカーを活用するSaaS事業を主としており、2020年12月に新たなサービスとして「OurPhoto」をM&Aで自社サービスの一環として取り入れた。OurPhotoは七五三や結婚式といった個人の撮影ニーズに対し、フリーのフォトグラファーをマッチングするWebサイト。累計撮影実績も8万件を超える人気サービスだ。
プロが撮影する写真は一味違う。これをリーズナブルな価格で手軽に利用できるマッチングサービスはやはり便利である。M&A実施後、うるる社とのシナジーや、事業拡大ができる状態にすべくOurPhotoのシステム統合を図った。しかし、OurPhoto プロダクト開発部長 プロダクトマネージャー 堂上和那氏は「何からやっていけばいいのだろうと、かなり頭を悩ませました」と当時を振り返る。
M&A前のOurPhotoのシステムは5人ほどのエンジニアが担当し、全員が常駐ではなく実際はCTO1人入れて2、3人での運用だった。インフラはMicrosoft Azure上に構築されていたが、構築は外注だったため詳しい人がいない。見てみると、Azureのインスタンス1つの上で動作するなど障害に弱い状態で、PHPのバージョンアップはされていたものの、システム全体の脆弱性の評価などはされていなかった。コードベースでは、1ファイルで1000行を超えるプログラムファイルが多数存在していた。その他、デプロイは自動化されておらず、手作業でデプロイを行なっており、以前のCTOしか分からないなど属人化も問題だった。
それでも前に進まなくてはいけない。堂上氏は、M&A実施後、インフラやプログラム、開発の進め方、誰がエンジニアかなどの詳細を、端から端まで猛烈な勢いで見渡し、2か月間ですべてキャッチアップし計画を練るまでに至る。
目指すべきは「サービス」と「チーム」の拡大への対応
山のような課題を前に、堂上氏は注視すべき場所を2つとした。それはOurPhotoがこれから成長するために重要となる、サービスとチームだ。サービスでは、今後ユーザー数が拡大してもそれに柔軟に耐えられるシステムが必要、チームでは属人化を廃し、可能な限り自動化を目指すこととした。加えてチームの人員が増えても、生産性を落とさない仕組みも忘れないようにした。サービスとチームがスムーズに拡大できるシステムを目指すと、狙いを定めた。