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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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「いまさら聴いても遅い!」とならないためのユーザーリサーチのタイミングとコツ ~プロダクト開発 初期~

そのプロダクト、本当に顧客の声を聴いて開発していますか?

「いまさら聴いても遅い!」とならないためのユーザーリサーチのタイミングとコツ ~プロダクト開発 初期~ 第1回


 ユーザーリサーチと一口にいっても、さまざまな手法やアプローチがあります。では、商品やサービスなどのプロダクトを開発する過程では、どのようにリサーチを活用すればよいのでしょうか。リサーチャー歴18年の筆者の元には「いまさらこれを聞いても遅いよー。もっと早く言ってよ~」という相談が来ることが少なくありません。そんなことにならないよう、プロダクト開発におけるリサーチの活用方法を知っておきましょう。

18年のリサーチャー経験、年間300人のインタビューから学んだことを届けたい

 本題の前に、私自身の自己紹介をさせてください。大手通信会社のリサーチ部門に8年勤務した後、2013年にリサーチ&コンサルティング会社「ユニークルーパー」を設立。IT業界のみならず、不動産、運輸、医薬など、さまざまな業種のリサーチプロジェクトを、プロマネとして支援してきました。デスクリサーチ、アンケート、インタビューの主要リサーチは、課題の整理から意思決定まで、もちろん実調査を含めて一気通貫でできることを強みとしています。コロナ禍以降はオンラインインタビューの依頼が大幅に増え、ビジネス有識者から中高生まで、年間300人以上にインタビューしています。これまでの経験から習得した「リサーチのコツ」を1人でも多くの人に、分かりやすくお届けしたいと思っています。

プロダクト開発では「PMF」を目指す

 それでは本題です。ProductZineの読者のみなさんにはおなじみだと思いますが、プロダクト開発には4つのフェーズがあると言われています(図1参照)。そして、4つのうち最も重要なのは4番目の「PMF(プロダクトマーケットフィット)」です。PMFとは、顧客が満足できるプロダクトを提供している状態で、かつ適切な市場(多くの潜在顧客がいる市場)に受け入れられていることを指します。簡単に言えば、「ヒットの兆しが見えている状態」 ともいえるでしょうか。スタートアップの起業家だけでなく、新たにプロダクトを開発する人は、このPMFを目指している方が多いと思います。

(図1)フィットジャーニーの4つのフェーズ
(図1)フィットジャーニーの4つのフェーズ

PMFまでの3フェーズでやるべきリサーチは決まっている

 フィットジャーニーでPMFに達するまでには、「フェーズ1:CPF(カスタマープロブレムフィット)」「フェーズ2:PSF(プロブレムソリューションフィット)」「フェーズ3:SPF(ソリューションプロダクトフィット)」という3つのフェーズがあります。リサーチャーの立場から言えば、この3つのフェーズで取り組むべきリサーチの目的やテーマは、ほぼ決まっています。

フェーズ1:CPFでのリサーチ【想定顧客のニーズ理解】
  • 想定した顧客はどんな人か。その人はどんな悩み・ニーズを抱えているか
  • その悩み・ニーズは、お金を払っても解決したいほど深刻か
フェーズ2:PSFでのリサーチ【ソリューションの探索】
  • どうすれば顧客の悩み・ニーズを満たせるか
  • 考え出した解決策(ソリューション)は、顧客の悩み・ニーズを本当に解決できているか
フェーズ3:SPFでのリサーチ【プロダクト自体の評価】
  • 前段で探索したソリューションをプロダクトとして実現できているか
  • そのプロダクトは、お金を払ってでも欲しいくらい有益/魅力的か

 このように、目的が決まっていても、仮説もコンセプトもない状態でリサーチをすることはできません。それでは、リサーチを効果的に行うにはどのようなプロセスを踏むのがよいのでしょうか。プロダクト開発における主要なプロセスとリサーチの関係性を図示すると、以下のようになります。この記事では、赤丸の数字の部分を連載形式で解説していきます。

(図2)プロダクト開発の4つのフェーズと主要プロセス(クリックかタップで拡大表示されます)
(図2)プロダクト開発の4つのフェーズと主要プロセス(クリックかタップで拡大表示されます)

次のページ
CPFやPSFでは、仮説の検証を繰り返すべし

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この記事の著者

平野 美和(株式会社ユニークルーパー)(ヒラノ ミワ)

株式会社ユニークルーパー 代表。Googleの「デザインスプリント」に精通し、プロダクト開発のリサーチを体系化する「DSR(デザインスプリントリサーチ)」を自社開発。リサーチはプロダクト開発のインプット情報と位置づけ、プロダクトマネージャーと並走するリサーチャーを自負する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/2192 2023/11/28 13:04

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