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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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「いまさら聴いても遅い!」とならないためのユーザーリサーチのタイミングとコツ ~プロダクト開発 初期~

強いソリューションにするために、徹底的に顧客理解を深めよう

「いまさら聴いても遅い!」とならないためのユーザーリサーチのタイミングとコツ ~プロダクト開発 初期~ 第4回


 フェーズ1:CPF(カスタマー・プロブレム・フィット)で「顧客の切なる課題」を定義したら、次はフェーズ2:PSF(プロブレム・ソリューション・フィット)です。ここは「顧客像」を明確にし、その人たちに向けた「解決策・ソリューション」を研ぎ澄ますステップです。解決策を模索する中で、プロダクトのコアとなる要素、本質的な価値を見いだすことがテーマとなります。今回はその中でも「顧客理解の深め方」を中心に解説します。

図1 プロダクト開発の4つのフェーズと主要プロセス(クリックかタップで拡大表示されます)

PSFフェーズでプロダクトの本質的な価値を見いだすためには

 CPFフェーズでは「顧客の切なる課題」を探りました。その際に想定した「解決策・ソリューション」はラフなものであるため、PSFフェーズでは、解決策の本質的な価値を捉えて、ソリューションとして表現できるよう、アイデアを具体化していくプロセスになります。

 PSFフェーズの後半では、ソリューションをプロトタイプとして制作し、インタビュー内で提示して検証することで、「顧客課題に対するソリューションとして適切か」を確かめます。その前段となるパートでは、どうすれば「顧客の切なる課題」を解決できるか、その解決策を必要としているのはどんな人なのかを模索します。CPFフェーズでは、顧客の「悩み・困りごと・ニーズ」に集中して考えていたので、「顧客そのもの」を明確に定義できていません。PSFフェーズではそこから一歩引いて、顧客理解を深める必要があります。その悩みを持つ人はどんな人なのか、どういう状況下で悩みを感じるか、どうすればその悩みを解決できるか、悩みを解決するとどんな状況になるのか、など、その人の人物像とあわせて、体験する事象やその際の思考、行動、感情を考え、顧客を俯瞰的に捉えることが大切です。

 プロダクトリサーチでは、それぞれのフェーズで重要なこと(焦点)が異なります。適切に焦点を捉えるために、レンズを開いたり、絞ったりしながら、捉えたいところにピントをあわせていくような気持ちで進めましょう。

CPFの終わりは、顧客の切なる課題が明らかになった状態

 ここからは、具体的なプロセスを見ていきましょう。CPFフェーズで仮説検証インタビューが終わった段階では、「顧客の切なる課題」が定義されています。これは、インタビュー前にチームでディスカッションして決めた顧客課題とは異なることが大半です。

 先の「グループ旅行幹事の課題」でいえば、事前ディスカッションでは、「4.集合時間に遅れた人、はぐれた人と次にどこで合流するかを考えておくのが大変」といった当日のオペレーションの悩みが深刻なのではないかと考えました。ところが、実際にグループ旅行の幹事にインタビューをすると、「一緒に行く人が、旅行を楽しめているかが常に気になる」という声が強かったのです。つまり、旅行当日の遅刻などはよくあることで、幹事の心配ごとはその先の「みんなが楽しめているか」「楽しい場を提供できているか」に達していたのです。グループ旅行の中でも、特に「社員旅行」の幹事経験者で、その意見が強く出ていたので、ここでは顧客課題を「(社員旅行など)参加意欲が異なる人がいる旅行で、皆が楽しめているか分からない状態を解決したい」と設定しました。

図2 事前に準備した「グループ旅行幹事の課題」仮説
図2 事前に準備した「グループ旅行幹事の課題」仮説

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PSFでは顧客像と解決策をセットで捉えて解像度を上げていく

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この記事の著者

平野 美和(株式会社ユニークルーパー)(ヒラノ ミワ)

株式会社ユニークルーパー 代表。Googleの「デザインスプリント」に精通し、プロダクト開発のリサーチを体系化する「DSR(デザインスプリントリサーチ)」を自社開発。リサーチはプロダクト開発のインプット情報と位置づけ、プロダクトマネージャーと並走するリサーチャーを自負する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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