freeeは、同社がこれまで培ってきた、アクセシビリティをはじめとするフロントエンド開発のノウハウが詰まったデザインシステム「vibes(ヴァイブス)」を公開した。同システムを公開することで、社会全体にアクセシビリティ向上に向けた取り組みが広がることを目指す。
デザインシステムは、Webサイトやアプリなどのデザインに一貫性を持たせるための仕組み。さまざまな画面で繰り返し使われる要素について、利用するフォントや配色、ボタンやフォームのデザインなどを定義している。また一般的に、デザイン作成にあたってのポリシーや運用ルールなども示されている。デザインシステムを利用することにより開発コストや工数などが抑えられるだけでなく、各サイト・サービスを通じて一貫したポリシーに準じた体験をユーザーに提供できる。
年齢、性別、利用環境、障害の有無、その他さまざまな社会的属性などの違いに関係なく、所要時間の差、身体的負荷、精神的ストレスなどがない状態で利用できることを「アクセシビリティが高い状態」と表現する。例えば視覚障害者がWebサービスを利用する際に、音声のみでサービスを利用できるような操作性の充実などが挙げられる。
同社は「アイデアやパッションやスキルがあれば誰でも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の構築を目指している。スモールビジネスのオーナー、従業員、取引先などいろいろな立場でスモールビジネスに関わる人には、高齢であったり心身に障害を持っていたりする人がいる。
同社は、そうした多様な背景を持つスモールビジネスの存在が社会をよりよい方向に変えていくためには「誰でも」使いやすい、アクセシビリティの高いシステムを構築することが不可欠と考える。そして社会全体がそのような方向に向かうことが、本当の意味での「マジ価値」(ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする、という意味のfreee用語)だと考えている。
しかしアクセシビリティの高いプロダクトを追求しようとしたとき、国際的なガイドラインであるWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)を読み解くだけでもかなりの時間と労力がかかり、開発に関わる全員が開発速度を落とさずにアクセシビリティについて理解し実践することは難しい。また企業によっては、アクセシビリティに時間を割くことについて上司や経営層の理解がなかなか得づらいことも多い。
今回公開された「vibes」がデザインや開発のあり方を考える上でのヒントとなり、どんな人でも自分の得たい情報やサービスにストレスなくアクセスできる社会実現の一助となることが期待される。
同社では、社会全体でアクセシビリティ向上に向けた取り組みが広がるよう、同社のアクセシビリティに対する考え方を示した「freeeアクセシビリティ・ガイドライン」や「アクセシビリティー・チェック・リスト」、自社における新入社員研修資料などを公開している。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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