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書籍『プロダクトマネジメントのすべて』著者陣が現場のPMの疑問に答える!

ProductZine3月ウェビナー『プロダクトマネジメントのすべて』刊行記念イベントレポート(後編)

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2021/04/26 11:00

 「日本ではプロダクトマネジメントに関する専門的な知識や知見を学ぶ機会が少ない」という課題感から、書籍『プロダクトマネジメントのすべて』を執筆した及川卓也氏、曽根原春樹氏、小城久美子氏。3月20日に行われた刊行記念イベントでは、現場のプロダクトマネージャーや、プロダクトマネジメントを学び実践してる参加者から、プロダクト開発の現場で直面したリアルな課題について多くの質問がよせられた。イベントレポートの後編となる本稿では、3名の回答にも熱がこもったQ&Aと、当日答えきれなかった質問への回答を紹介する。

目次

Q&A目次

登壇した『プロダクトマネジメントのすべて』執筆陣。曽根原春樹氏(上段右)、小城久美子氏(上段左)、及川卓也氏(下段)
登壇した『プロダクトマネジメントのすべて』執筆陣。
及川卓也氏(下段)、曽根原春樹氏(上段右)、小城久美子氏(上段左)

書籍作りのプロダクトマネジメントについて

Q 書籍のペルソナやインセプションデッキを作るのにどれくらいの期間をかけたのか知りたいです。

小城:インセプションデッキはたたき台を数時間でつくり、3人で2時間で議論をしてつくりました。

Q 書籍作りでも実際にJiraなどのツールを使ってスプリントを回されていたんでしょうか? また、スプリントレビューをされたということは、スクラムのようにバックログを積んで、それをスプリントごとに解決していく進め方だったのでしょうか。

小城:タスク管理にはTrelloを利用しました。しかし書籍というプロダクトの特徴上、ユーザーストーリーでバックログを管理することはできず、タスクベースでの管理となりました。

 また、スクラム開発ではありませんが、最初に書籍原稿をつくるときにはタスクの規模の見積もりをして、スプリントごとにアジャイルに進行をしました。

 しかしながら、一度原稿を書き上げた後には、原稿をもとに議論をしてバックログを作り出す方、つまりは3人でPO業に専念したためスプリントを用いることはなく、議論の時間を多く取りました。

及川:ストーリーポイントとベロシティ的なものを把握するため、最初はいったん書ける内容を書くだけ書いて、そのスピードを測ってみるのをやった記憶があります。

Q 書籍作りにおける「大切なものランキング(イベントレポート前編参照)」は定期的に見直したのでしょうか?

小城:はい。はじめの頃は月に1回ペースでふりかえりをしていました。プロダクト(書籍)を作り込むにつれて、あえて大切なものランキングを見なくてもお互いの頭の中に同じものさしがあるという実感があったので、明示的に見返すことは少なくなりました。

 書籍は出版することで一区切りありますが、通常のプロダクトは改善を続けていくものですので、定期的にふりかえりをすることをおすすめします。

Q 書籍ではWhyとWhatの検証方法として想定ターゲットへのインタビューが紹介されてましたが、今回は代わりに有識者への査読を行われたのでしょうか? であれば査読を選択された理由をお聞きしたいです。

小城:査読は、これからプロダクトマネージャーになる新卒の方から既にプロダクトマネージャーとして活躍されている方まで、多くの方にご対応をいただきました。

 ただ、コメントをテキストでいただくだけではなく、時にはご意見をもとにインタビューを実施させていただいたり、何往復もご確認いただいたり……と、査読いただいた方には非常に感謝しております。

 査読を選んだ理由としては、仕事柄プロダクトづくりのペイン・ゲインについてはヒアリングする機会が多かったため、実際の原稿をもとに皆さんのお役に立つことができるかを確認したい思いが強かったからです。

及川:小城さんの言うとおりで、インタビュー相当のことは普段の仕事で行えていたためスキップしました。しかし、振り返って考えると、あえてやってみてもよかったかなとも思います(小城さんにやっていただいた査読者へのインタビューで最終的には行えていますが)。

書籍の活用の仕方について

Q 書籍を読み、プロダクトを新規に作るときのイメージは強く湧いたのですが、プロダクトリリース後の機能追加や課題解決していくにあたっても同様のプロセス・ツール・フレームワークなどをそのまま使うものなのでしょうか?

小城:ありがとうございます。特にPart2は新規立ち上げの例を取り上げたのでそのように伝わってしまったかもしれないのですが、新規だけではなくその後の継続開発でもご利用いただけるものかと思います。

 もし、既存事業をお持ちであれば、書籍で紹介しているものの中で見落としている視点などがないか、ぜひご検討いただければと思いますし、仮説の4階層を利用してプロダクトに一気通貫した仮説の連鎖があるかをご確認いただけますと幸いです。

曽根原:既存事業の拡大となると、North Star Metric(NSM)の設定とTop-line Metricsへの落とし込みの部分が特に重要となってきます(0→1の場合はNSMも模索ということになるので)。この時点だとおそらくプロダクト全体としてのCore/Whyはあらかた固まっているはずなので、What以下へ力の比重を移していくことになります。

Q まさにプロダクトマネジメントを勉強中で、この本を教科書としてサービスの立ち上げを進めています。プロダクトの4階層から検討し始めましたが、具体的に何を書けばいいのだろうか……と迷うことがたくさんありました。この書籍は、体系的に学ぶ本であって、実践では学んだことを応用しトライアルアンドエラーを繰り返していくといった理解で合っていますか?

小城:ご質問ありがとうございます。はい! この『プロすべ本』は白地図(プロダクトマネジメントの全体像)を作るための書籍ですので、その一つひとつの深掘りはぜひ実践での試行錯誤を通して、身につけていただければと思います。

組織・経営層とのコミュニケーション

Q 私はプロダクトのWhy、Whatの軸になるのは「ユーザーが使いたい思うものを作る」というイメージを持っていますが、多くの企業が「プロダクトをどうやって使ってもらうか」という意識を強く持っていると感じます。このような意識を持つ組織、企業に対してWhy、Whatが大事であることをどうやって伝えているのでしょうか。

及川:おっしゃっているのはアウトプットからアウトカムを生み出そうという手法で進める会社が多いということだと思います。作ったもの(アウトプット)からどうやって使ってもらうか(アウトカム)を考える中で、WhyやWhatが出てくることもありますので、このアプローチが一概に悪いというわけではありません。書籍のRefineという考えでしょう。最初からWhyやWhatが大事であることを伝えるのには、事例を用いるのもよいかと思います。事例を示すことで、WhyやWhatの重要さを伝えるのはいかがでしょうか。

Q アウトカムを得るためには時間がかかることがあると思います(リリースして効果検証を繰り返し、ユーザーに選ばれるための期間)。正直、いつまでにアウトカムが得られるかは誰もわからないかと思うのですが、それを経営陣にどう説明し、どういったマイルストーンを置いていますか?

小城:プロダクトマネージャーが責任を持つのはアウトプットではなく、アウトカムです。PM(プロダクトマネージャー)とPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)を分けることもありますが、プロダクトマネジメントの文脈においてユーザーに選ばれるためのマーケティング戦略も責任範囲であり、アウトプットを活用してアウトカムを実現することが期待されます。もちろん「いつまでにアウトカムを得られるか」は不確実ではありますが、定めたロードマップに従ってアウトカムを実現することは諦めてはいけないのではないかというのが私の意見です。

及川:経営側が求める経営としてのアウトカムは収益であることがほとんどでしょう。事業KGIとしての収益に対して貢献できるプロダクトの先行指標がNSMとなるので、そのNSMと事業KGIとしての収益の因果関係を明確にすることが必要かと思います。

Q 弊社では戦略的な意図をもってプロダクトを作る組織ができたのが最近です。自分を含め、戦略的なプロダクト開発の経験者が少ないので、0→1で何かを作る際のかじ取りやフィードバックがなかなかできていません。まず優先的に取り組むべきことがあれば教えてください。

及川:Why、Whatのところをしっかりとやることです。何をする会社で、なぜプロダクトを持つのか、誰がユーザーでどんな未来を創りたいのか、それをしっかりと考えること。そのCoreやWhyの部分を組織として大事にするマインドセットを醸成することだと思います。もちろん失敗はするので、失敗を許容する体制を作ることも大事だと思います。


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著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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