- プロダクトマネージャーカンファレンス2023
- 曽根原氏のセッション紹介ページ(スライドや録画への導線あり)
現時点での最適な視点、長期的な視野、高い視座を持ち、自問自答するべき
曽根原氏は、シリコンバレーで17年以上の経験を積み、現在はLinkedInの米国本社でシニアプロダクトマネージャーとして活動しながら、日本企業のプロダクト開発も支援している。『プロダクトマネジメントのすべて』の共著者、『ラディカル・プロダクト・シンキング』の監訳者としても知られ、2万6000人以上が受講したUdemyのプロダクトマネジメント講座のインストラクターでもある。
今回の講演では「シリコンバレーのプロダクトマネージャー達に見る、覚悟を決めたPMは何が違うのか?」というテーマで、「視点→視野→視座」「Over-communication」「Over-indexing状態を避ける」「経営者感覚」「時間の使い方」「ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの使い分け」の6トピックについて解説した。
最初のトピック「視点→視野→視座」は、重要な意思決定スタンスである。例えばA/Bテストでは、多くのテストを望むPMもいるが、これによりサンプル数が減り効果の判断が難しくなる。そのため、限られた選択肢から最適なテストを選ぶ覚悟が求められる。また、現在の施策だけでなく、時間の経過と共にプロダクトを見る広い視野が必要である。
シリコンバレーのPMたちは、単なる成長ではなく、急激な成長の瞬間であるステップチェンジを重視している。曽根原氏は、ステップチェンジの具体例としてAmazonのワンクリックオーダーを挙げた。それまでAmazonの顧客は多くのステップを踏んで注文していたが、ワンクリックオーダーの導入により年間のセールスが約5%、金額にして約3000億円の増加があったという。
PMはステップチェンジのために時にロードマップの否定を行うこともある。プロダクト作りは日々新しい学びがあるため、ロードマップが決まっていても、それより正しいことが見つかれば追求すべきだ。PMには、頑固にならない柔軟性が求められる。ステップチェンジはプロダクトマネージャーの決断だけで完結する話ではないこともある。曽根原氏は「経営層やリーダー層はPMをサポートすることが重要です。そうしなければ、プロダクトが大きく成長する瞬間を逃す可能性があります」と付け加えた。