はじめに
ファインディでは、プロダクトマネジメントの課題解決と知識共有を目的とした「PM Hub」というコミュニティイベントを定期的に開催しています。各社の取り組み事例や成功事例の共有、プロダクトマネージャー同士の交流を通じて、共通の課題やベストプラクティスについて話し合い、知識と経験を共有することで明日から使える気づきや学びを得られる場を提供しています。
先日開催された「PM LT Night」では、「アウトカムを高めるPM間連携の取り組み」をテーマに議論が行われました。プロダクトマネージャー(以下、PM)は、急速に変化する市場や競争の激化など、さまざまな課題に直面しています。そうした中で、PM間の効果的な連携を実現することは非常に重要な課題となっています。
本記事では、イベントで共有された知見をもとに、PM間連携強化のためのポイントをお伝えします。
LT1:超属人化ロールになりがちPMを、PM間連携で組織化している話
- 発表者:ラクスル株式会社 ラクスル事業本部 MBS Product Manager 澤田一将氏
- 発表スライド
ラクスル株式会社では、多様なバックグラウンドを持つPMが存在する中で、横断的な課題解決と知識共有を目的とした「PM Meetup」を実施しています。この取り組みの背景、実施方法、そして得られた成果について説明がありました。
「横断の悩み」から「超属人化」まで:PM組織が直面する3つの課題
組織の成長に伴い、PM間の連携や知識共有に関する課題が顕在化してきています。主要な課題として以下の3点が挙げられました。
- 横断的な問題:タスクの優先順位付けの難しさ
- 超属人化:個人の経験や知識に依存しがち
- 学びの共有が限定的:1on1レベルにとどまりがち
これらの課題は組織の成長とともに顕在化し、プロダクト開発の効率性と質に影響を与えていたとのことです。
PM Meetup爆誕:効率的で強いPM組織を作る週1時間の取り組み
上記の課題に対応するため、「PM Meetup」という定期的な会合が導入されました。このMeetupは以下の特徴を持っています。
- 毎週1時間、トピックを決めて深掘り
- アジェンダはトップダウンで決定
- 特別な資料作成は不要
この取り組みにより、組織として重要なトピックを確実にカバーしつつ、参加者の準備負担を軽減できたとのことです。
PRD1つを例にしても……:チームの習熟度に応じた柔軟なアプローチ
PM Meetupを通じて共有された具体的な学びの一例として、PRD(Product Requirements Document)の効果的な使い分けが挙げられました。
チームの状況や製品のフェーズに応じて、以下の3つのアプローチを使い分けていることが分かったとのことです。
- 合意形成フォーカス(大規模、立ち上げ):PRD派
- 対話型+仕様書(スクラム、開発向け):Minispec派
- 対話型(スクラム、習熟しているチーム):あんまり書かない派
「プロダクトマネージャー定例」#組織化をやってみた学び
PM Meetupの実施により、以下のような成果が得られています。
- コミュニケーション起点で生まれたコラボレーションによって出たアウトカムもあった
- 解像度が上がる、経験値が効率よく上がる
- しくじりエピソードからの学びが多かった
- 参加して聞くだけで学びが多いので得るもののほうが圧倒的に多い
特に失敗事例の共有により、組織全体のリスク管理能力が向上し、失敗を恐れずにチャレンジする文化が醸成されたとのことです。
総括
ラクスル社のPM Meetupは、PM組織の典型的な課題に対する効果的な解決策を提示しました。週1時間の効率的な運用により、重要トピックのカバーと参加者負担の軽減を両立しています。
この取り組みは、コミュニケーション促進だけでなく、PRDの柔軟な使い分けなど、具体的なプロダクト開発プラクティスの改善にもつながっています。さらに、失敗事例の共有を通じたリスク管理能力の向上や、チャレンジを恐れない文化の醸成は、イノベーティブな組織づくりに貢献しているようです。
PM Meetupは情報共有の場を超え、組織文化の形成と連携強化の重要な機会となっており、他組織にも応用可能な有益なアプローチと言えるでしょう。