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「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」セッションレポート

プロダクトマネージャーが直面する6つの覚悟(後編)──「ユーザー」「未完成」そして「終了」

「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」及川卓也氏・吉羽龍太郎氏セッションレポート

 「覚悟」をメインテーマとして2023年11月29日に開催された「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」。Tably株式会社の及川卓也氏と株式会社アトラクタの吉羽龍太郎氏によるキーノートセッションでは、プロダクトマネージャーが直面する課題や決断における「覚悟」を6つに分解して解説した。「カネを利用する覚悟」「ヒトを巻き込む覚悟」「NOと言う覚悟」について紹介した前編に続き、本稿では「ユーザーを巻き込む覚悟」「未完成なプロダクトを人に使ってもらう覚悟」「プロダクトや機能を終了する覚悟」について紹介する。

ユーザーを幸せにする姿勢と、それを確かにする検証は重要(1)

 「ユーザーを巻き込む覚悟」におけるユーザーはBtoBやBtoCといった提供スタイルによって変わる。顧客はお金を払う人や法人であり、ユーザーは実際にプロダクトを使う人である。

 BtoBでは一般的には顧客(法人)とユーザー(法人の従業員)と分離されている場合が多く、ユーザーが使うことで顧客にビジネス上のメリットが生じるため、その価値を認識してもらい、お金を払ってもらうことが重要である。吉羽氏は、顧客とユーザー双方にアプローチする必要があるものの、片方のみに焦点をあてるケースが見られることを指摘した。

 及川氏は、プロダクト主導の成長(Product-Led Growth)の観点から、顧客・ユーザーのジャーニーを考慮する必要があるとした。例えば、SlackやFigmaのようなツールは、個人が無料プランで試用を始め、徐々に組織全体での使用に拡大していくパターンが多い。この過程では、最初はユーザー自身が顧客となり、その後組織全体での使用が普及し、購買部がエンタープライズライセンス契約を結ぶ形になる。

Tably株式会社/株式会社Global Hands-On VC Founding Partner/Adobe Executive Fellow/株式会社クライス&カンパニー 顧問 及川卓也氏(左側の映像では左)

Tably株式会社/株式会社Global Hands-On VC Founding Partner/Adobe Executive Fellow/

株式会社クライス&カンパニー 顧問 及川卓也氏(左側の映像では左)

 ユーザーを巻き込むことについて及川氏は、プロダクトの魅力を説明できなかったり、ユーザーへの売り込みができていなかったりするケースが多いと指摘した。プロダクトの導入が顧客にとってリスクとなる場合もあり、プロダクトを売り込む際には、顧客が感じるリスクを十分に理解した上で、それでも自信を持って勧めることが求められる。

 「お客様がすでに代替手段や競合プロダクトを使用しており、それに満足しているときに『私たちのプロダクトの方が良いですよ』と勧めて導入してもらうことで、お客様を不幸にしてしまうリスクがあります。しかし、このようなリスクを恐れてセールスに消極的では、成功は望めません」(及川氏)

 吉羽氏は、特に初期段階では、積極的にユーザーのもとを訪れて使用状況を観察すべきだが、恥ずかしいのかユーザーのところに行きたがらない人もいると指摘し、「未完成なプロダクトを人に使ってもらう覚悟」に話題を移した。

株式会社アトラクタ 取締役CTO アジャイルコーチ 吉羽龍太郎氏(左側の映像では右)
株式会社アトラクタ 取締役CTO アジャイルコーチ 吉羽龍太郎氏(左側の映像では右)

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ユーザーを幸せにする姿勢と、それを確かにする検証は重要(2)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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