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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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グッドパッチ流 UXデザインを生かしたプロダクトマネジメントの実践入門

プロダクトの提供価値を明らかにする簡易版「価値マップ」の作り方

グッドパッチ流 UXデザインを生かしたプロダクトマネジメントの実践入門 第6回


 「プロダクトは、誰かのために世界をより良くするための仕組みである」──書籍『ラディカル・プロダクト・シンキング』(翔泳社)では、こう述べられています。プロダクトが誰かのために存在する仕組みである以上、ユーザーを理解しユーザーのための設計を行う「UXデザイン」と「プロダクトマネジメント」は切っても切り離せない関係です。デザインカンパニーであるグッドパッチのプロダクトマネージャーは、UXデザインの強みを生かしてさまざまな企業の支援を行う中でプロダクト開発現場のお悩みに、どのようなアプローチで解決してきたのか。デザインの力を用いてプロダクト開発を前進させるフレームやプロセスを紹介する本連載。今回はユーザーの潜在ニーズを探索する「価値マップ」について解説します。

はじめに

 前回の記事では、「ユーザーの成功」に至るまでの「ユーザーの成長ステップ」を設計するプロセスを紹介しました。「ユーザーの成功」を定義するためには、顕在的なニーズだけでなく、ユーザーが本質的に何を求めているのかという潜在的なニーズを把握している必要があります。そこで今回はユーザーの潜在ニーズを探索する方法の一つとして「価値マップ」を紹介します。

プロダクトの価値を言語化する意味

 価値マップとは、ユーザー調査から得られた発言や行動をグルーピングし、背景や目的を分析して関係性を構造化したマップです。

 価値マップの策定手順を紹介する前に、プロダクトにおける価値の正体を考えてみましょう。あなたなら、以下の問いに何と答えますか?

 「あなたのプロダクトのユーザーはなぜ、そのプロダクトを使っていますか?

 この答えこそが、ユーザーがあなたのプロダクトに感じている「価値」になります。

 この価値が明らかになることで、より価値を増幅させてLTVを高めるための戦略を策定でき、価値の増幅分に合わせて開発優先順位をつけることもできます(優先順位づけの手法として使われる「RICEスコア」でいうImpactに該当します)。

 しかしユーザーは「こういう価値を感じてこのプロダクトを使っています」とはっきり言語化できないことが多いです。そのためインタビューで「なぜこのプロダクトを使っていますか?」と聞いて、答えてもらった発言をそのままプロダクトの価値だと捉えるのは危険です。

 そこでインタビューの発言や行動に対して背景を分析することが重要になります。価値マップを用いることで発言や行為の裏にある潜在的なニーズを探り、プロダクトの提供価値を明らかにすることに役立ちます。

価値マップを用いた提供価値の言語化手順(1)

 ここから価値マップを用いて、プロダクトが提供できる価値を言語化する手順を紹介します。分かりやすくするため、仮想のプロダクトとして「コミュニティ機能のある筋トレアプリ」を例にします

1.どこに価値を感じてくれているのかをインタビューする

 前述のとおり「なぜこのプロダクトを使っていますか?」と聞いて、それだけを情報源にすることは望ましくありません。この質問はユーザーに自分の行動を分析させることになり、信ぴょう性の高い分析ができるとは限らないからです。

 ここで重要になるのは、プロダクトを使い始めたきっかけやどんな時に使うのか、プロダクトを使って印象に残ったエピソードなど、ユーザーの行動や思考、感情を引き出すことです。

 以下に質問の例と、それらの質問によって分かることを挙げてみます。

(クリックまたはタップで拡大表示されます、以下同様)
(クリックまたはタップで拡大表示されます、以下同様)

 利用データを見てインタビュー依頼ができる場合は、ロイヤリティの高いユーザーに話を聞いてみるとよいでしょう。プロダクトに価値を感じてくれている人たちであり、さまざまなユーザーの中でも特にプロダクトに接している人たちでもあるので、得られるヒントが多くなります。

次のページ
価値マップを用いた提供価値の言語化手順(2)

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この記事の著者

加納 俊平(株式会社グッドパッチ)(カノウ シュンペイ)

新卒でヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社後、スポーツメディアサイトのWebデザインやアプリのUIデザインなどを担当。事業KPIに基づいたデザインや社内用CMSの構築などを経験。2020年3月にUXデザイナーとしてGoodpatchに入社。ユーザーリサーチを元にユーザーモデリングを行いサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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