2024年はプロダクトマネージャーに対する企業の解像度が向上
2024年、われわれは多くのプロダクトマネージャーにお会いしました。今回は昨年のプロダクトマネージャー転職市場を振り返りながら、2025年に予想される傾向についてお伝えしたいと思います。
昨年を振り返って、まず特筆されるのが内定時、企業から候補者に提示される年収額が上昇している点です。われわれが支援して転職が決まったプロダクトマネージャーの実績を見ると、提示年収が最も高い方は一昨年が1800万円だったのに対し、昨年は2000万円でした。2番目の方も1500万円から1900万円に増加しており、上昇が顕著です。
平均額も上昇していますが、特に「この人は絶対に採用したい」という優秀な人材には高めに金額を提示する企業が増えています。その背景には、プロダクトマネージャーの経営や事業に与えるインパクトがより重視されるようになったと思われます。
また、企業が「プロダクトマネージャーの中でもこういう人が欲しい」と、自社が求める要素を明確に言語化できるようになり、その要素を持っている人に対してより高い年収を提示するようになっています。
一方では、未経験者やジュニアクラスを採用する企業が増加したのも2024年の傾向といえます。極端な事例ですが、中には未経験で年収1000万円の提示が出た人もいて、これには私たちも非常に驚きました。この方はプロダクト開発や開発ディレクションの経験はありませんでしたが、戦略コンサルやITコンサルの経験があり、本人のキャラクターやマインドセットもあってこの金額になったのだと思います。
未経験者やジュニアクラスを採用する企業が増えているのは、本当はミドルクラスかシニアクラスのプロダクトマネージャーが欲しいけれども、なかなか採用できないという事情があります。かつ、前述したように企業側がプロダクトマネージャーの幅広い業務を言語化できるようになって、「この部分が足りていないので、その分野の経験がある人をピンポイントで狙う」採用ができるようになってきました。
もう一つ、メガベンチャーなどのある程度規模が大きい会社では、「未経験者を育てる余力」が出てきたこともあります。プロダクトマネジメントの組織が整備され、トップにCPOやVPoPがいて、その下に管理職のプロダクトマネージャーが置かれるようになると、管理職の下に未経験者をつけて育成できるようになるわけです。