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Mixpanel, Incからのプロダクトティップス

B2Bマーケティングアナリティクス入門:メリットと課題、始め方を解説

Mixpanel, Incからのプロダクトティップス 第24回


 グローバルで8000社以上の導入実績をもつプロダクト分析ツールのベンダー「米Mixpanel社」のキーパーソンによる海外ブログ翻訳記事です。プロダクトマネージャーの日々の業務に役立つ、さまざまな知見をお届けします。今回は、B2Bマーケティングアナリティクスのメリットと課題について解説します。

編注

 原文:「B2B marketing analytics 101: Benefits, challenges, and getting started」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。

はじめに

 B2Bにおけるマーケティングアナリティクスは、B2B企業のマーケティング活動のパフォーマンスを最適化するためにデータを収集し、測定することです。B2Bマーケティングアナリティクスでは、B2Cのマーケティングよりもリードの質や顧客リテンション率などの指標を重視します。

 ちょっと分かりやすい例を挙げてみます。

 濃霧の中を飛行機で飛んでいると想像してみてください。何も見えませんよね。

 それでも、GPSや無線、コンピューターなどの飛行計器にはアクセスできるので、自分がどこにいて、どこに向かっているのかは正確に分かっているはずです。たとえ数メートル先が見えなくてもです。

 実は、アナリティクスを使うか使わないかは、飛行計器を使うか、それとも「もうよいです、やみくもに飛んで何が起こるか試してみます」と判断するかの違いと同じです。

 飛行機を操縦するのであれば、飛行計器を使って何が起きているかを確認し、理解する必要があります。これと同じようにB2Bのマーケティングを行うのであれば、B2Bマーケティングアナリティクスを活用する必要があります。

 マッキンゼーによると、「アナリティクスをマーケティングと営業チームのパフォーマンスに効果的に活用している企業では、同業他社に比べて平均以上の成長率を達成する可能性が1.5倍高い」のだそうです。先ほどの例に例えると、この状態では、スムーズなフライトができている、ということになるでしょう。

 この記事では、B2Bマーケティングアナリティクスのメリットと課題について解説します。どんなB2Bマーケティング指標を追跡すべきか、どのように独自のB2Bマーケティングアナリティクスを始めるべきかについてのヒントもご紹介します。

B2Bマーケティングアナリティクスとは

 B2Bマーケティングアナリティクスとは、B2Bサービスを提供する企業において、マーケティングキャンペーンやWebサイト(またはアプリ)のパフォーマンスを改善するために、マーケティングデータを収集、測定することです。B2Bマーケティングアナリティクスを理解するには、B2B企業の仕組みを理解する必要があります。

B2BとB2Cの比較:B2Bの営業とマーケティングについて知っておくべきこと

 B2B企業は、個人消費者ではなく、企業にプロダクトを販売しています。例えば、自社プロダクトを他社に販売しているSlack、Notion、Salesforceの各社は、B2Bマーケティングアナリティクスを使うでしょう。その一方、消費者にプロダクトを販売するアップル、マクドナルド、SHEINといったB2C企業では同じ手法を使うことはありません。

 B2BではB2Cよりも販売サイクルが長くて複雑です。より多くの関係者も関与してきます。通常、B2Bではプロダクトの価格が非常に高額です。例えば、CRM(顧客関係管理プラットフォーム)やHRIS(人事情報システム)の新規への切り替えは、一般的な消費者向け商品を購入するよりも高価となります。そのため、企業がB2Bソリューションの選択を誤ると、企業全体の業務に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、B2Bの購買、特に大企業では、最終決定するまでに何度も評価や承認プロセスがあります。その結果、B2Bのマーケティングと営業は、B2Cの場合よりも個人的に長続きしやすい関係に重点を置くようになります。B2Bのマーケティング、営業、CSの各チームは、カスタマージャーニーのあらゆる段階で、買い手の目的に対応できるよう積極的に協力します。B2Cでは、購入そのものを重視する傾向があります。

 こうした違いすべてが、B2B企業のマーケティングアナリティクスの活用方法に影響します。

B2Bマーケティングアナリティクスの優先事項

 まず初めに、B2Bマーケティング分析において最も重要な指標は、B2Cとは異なります。

 NetflixのようなB2C企業では、新規顧客の獲得に最も力を入れています。同社のプロダクトは比較的安価で、何百万人もの加入者にとって魅力的なものです(参考までに、Evocaによると、Netflixの加入者数は2024年第3四半期時点で全世界で2億8770万人)。潜在的ユーザー層は非常に多く、Netflixが収益を拡大しつつ回避できない解約の損失に対応していくためには、より多くの加入者を獲得し続けていく必要があります。

 対照的に、ほとんどのB2B企業は、潜在的なユーザーベースが小さく、個々のアカウントの価値が高くなります。B2B企業では、チームが成長してサービスを拡大するにつれて、各アカウントからのプランのアップグレードやクロスセルにより、より多くの利益を得られるようになります。B2Bでは、顧客一社の解約は、今後の収益と潜在的な収益の損失を意味します。

 そのため、B2Bのビジネスモデルでは、リテンション、拡大、CLV(顧客生涯価値)のような指標に最も集中する傾向があります。

 だからといって、B2Bマーケティングでは新規顧客獲得が重要ではない、B2Bマーケティングアナリティクスが新規顧客獲得を計測しない、ということではありません。ただ、B2Bマーケティングアナリティクスでは、B2Cとは異なる指標が優先されるということなのです。

次のページ
B2Bマーケティングアナリティクスのメリット

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この記事の著者

Mixpanel, Inc.(ミックスパネル)

Mixpanelはプロダクト分析ツールのベンダー。プロダクト分析から確実なビジネス成果をもたらす革命を起こしてきました。グローバルで8000社以上の導入実績を持ち、完全かつ正しいデータを提供することで、チームがより迅速に行動でき、推測を排除し、連携できることをサポートしています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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