博報堂の専門組織である生活者発想技術研究所傘下の博報堂行動デザイン研究所は、15〜69歳のスマートフォンを所有する男女2000名を対象に実施した、「情報行動・欲求に関する調査」(実施期間は2024年11月5日〜7日)の結果を3月27日に発表した。あわせて、同調査の結果をもとに今後の生活者トレンドを「行動デザイン予報」として予測している。
同調査において、生活者が自身の欲求を満たせる役立ちそう/面白そうな情報をSNSや街などの日常からうまく引き寄せて「貯めておく」情報行動である情報プールの有無を、新型コロナ禍での調査(2023年1月13日〜16日の期間に実施)と比較したところ、情報プールが「ある」割合は4.8ポイント減少した。性年代別でも、10代の男性と60代の男女を除く現役世代では全体的に減少傾向がみられる。

情報に関する実感では、「情報は伝える速さよりも内容の確かさ」「世の中の情報量は多すぎる」といった情報量や情報の真偽・扱い方への不安のほか、「インターネット上での道徳や基本的な使い方について、指導が必要」「気になるニュースは複数の情報源で確かめる」といった情報を受け身で引き寄せるだけでなく、引き寄せた情報を主体的に吟味する姿勢が強まっていることがうかがえる。

博報堂行動デザイン研究所が定義した、情報プールや気持ちの発火の元となる「12欲求」について、今回の調査と新型コロナ禍での調査の差異を性年代別でみると、安全・損失回避・簡便を求める「安心系欲求」が新型コロナ禍同様に上位を占めたものの、数値としては減少した。また、現役世代全体で愉楽欲は減少している。一方で、10〜20代の女性ではもともと高い独占欲・競争欲が増加し、若年層では自己実現につながる消費意欲が高まりつつある可能性がある。


今後強くなると思う意識では、「安全・安心に暮らしたい(安全欲)」「今のうちにできることをしたい」「自分の身は自分で守らないといけない」が上位を占め、数値も新型コロナ禍より増加した。「失敗や損失を避けたい(損失回避欲)」「より節約した生活をしたい」も高い。一方で、値としては「自分の好きなことに時間を使いたい」「物事をもっと楽しみたい(愉楽欲)」も高かった。

以上の結果を踏まえた「行動デザイン予報2025」では、新型コロナ禍を経てオンライン行動が定着した反面、情報過多感や不信感が高まっており、生活者側が話題にしている文脈を意識しつつ、自社ならではの専門性を活かした発信で信頼を獲得することが求められていると予測する。
また、生活者は再び不安が高まることを予想して自衛意識を高めており、新しいことにチャレンジしようという機運は高まっておらず、驚きや意外性よりも生活者の自衛行動をサポートする商品・サービス、それぞれの興味関心をより快適に・効率よく楽しめるようパーソナライズされた商品・サービスがより求められるようになる、との予測を示している。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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