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ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

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プロダクトコーチングによる「大企業の組織変革」──プロダクトドリブンに転換するための3つのアプローチ

「ProductZine Day 2025」レポート

組織変革への道①:外注中心から内製へ「作り方を変える」ための組織変革とAI活用

 まず、「作り方を変える」にあたって障壁となっているのが、大企業の開発体制が外注を中心に成り立っていることだ。

 インハウスのエンジニアがほとんどいない環境では、リスクをとる挑戦が生まれづらい傾向にある。大企業側は委託による「コストの削減」に一番のメリットを感じており、低コストで委託を受けているベンダー企業側は、長期的に安定運用を行うことをもっとも重視しているからだ。兼原氏は「まさかというなら、次のようなことに心当たりはないだろうか」と言いながら、下図のようなチェックシートを示した。

 思い当たることがなければ幸いだが、大企業ではこうしたことが実際に起きており、まさに危機的状況と言えるだろう。これを解決する方法として、「内製化」は大きなトレンドとなっている。

 なお、ここでの「内製化」とは、外部仕様ではなくソースコードレベルでのコントロールを指す。AIの活用は半ばブーム的な印象もあるが、兼原氏は「AIを活用して生産性を高めたいなら、ソースコードレベルでコントロールできなくては難しい。そこで、内製化人材の比率が生産性を上げるための障壁の一つとなっているのではないか」と分析する。

 それではどのようにして、ソースコードレベルでの内製化を進めればいいのか。兼原氏は「ステップを踏んでいくことが必要」と語り、中でも要となるステップとして「開発パートナーとの共創体制」について紹介した。

 開発パートナーとの共創体制を実現するには、従来の一辺倒な方法だけではなく、「作り方」を選択的に決定できる状態を目指す必要がある。例えば「SIerなどのパートナー企業をチームに招き入れて共同開発を進める方法」や「自社エンジニアのみで開発を行う方法」など、複数の開発スタイルを確立する必要がある。また、パートナー主導の開発でも、ラボ型や請負開発など特性に応じた組み合わせを適切に選択することが求められる。これを何パターンも持てるような状態を作り出すことが必要だ。

 兼原氏は、「自社商品の開発では専門性の確立が欠かせない。特に、BTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)トライアングルのバランスを意識することが重要だ。しかし、日本の大企業では、新卒一括採用や総合職人材の採用が主流であるため、組織の構造上、ビジネス偏重になりがち。そのため、社内での分業が進み、プロダクト組織に必要なケイパビリティが分散している状態にある」と指摘する。

 そこで、必要なスキルや経験部門を見定めながら、人事部門との連携により職能横断でプロダクトチームを組成することが第一歩だと言う。もちろん外部人材を取り込んでいければいいが、プロダクトチームに適した人材ほど、プロダクト文化がない組織に拒否感を感じるため、そう簡単にはいかない。

 兼原氏は「プロダクト文化がない組織に外部人材を採用しようとしても難しい。すでにいる人材についてケイパビリティを確認して育成しながら、パートナーの支援を受けるのが第一歩」と語る。そして、専門性を理解したり、共創のトレーニングをしたり、さらにプロトタイプ駆動のコミュニケーションをとりながら、最終的にはBTCの観点を併せ持つプロダクトチームへと変化させていく。そこにたどり着くためには、まずは今自身の組織がどのステータスにあるのかイメージを持つことが必要というわけだ。

 この組織変革を大きくドライブするのが、ノーコード/ローコードツールやAIなどの技術革新だ。専門的な運用部分をAIなどを効果的に活用しながら段階的に置き換えていくことで、外注依存の状態から変革を加速できると言う。兼原氏は、「大企業だからこそAIを率先して活用することで、プロダクトカンパニーへのリープフロッグ(最新の技術やサービスに一気に移行する)を達成できる。とても重要なポイントだ」と強調した。

次のページ
組織変革への道②:効果的な探索により「問題解決の方法を変える」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Muture

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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