ペルソナの行動を可視化するためにカスタマージャーニーマップを作る
ペルソナを設定したら、そのペルソナがどのような「思考・行動・感情」なのかを考え、一連の行動として時系列に沿って可視化します。このシートをカスタマージャーニーマップと呼んでいます。顧客理解に広く用いられるものですが、プロダクト開発の現場では、ペルソナの思考や行動、感情が「強く動く瞬間」を捉えるのが効果的です。
その際、作成するカスタマージャーニーマップが「現状」を表しているのか、将来的な「理想」を表すものなのかを事前に定める必要があります。初めて作成する場合は「現状」から表現した方がよいでしょう。現状の認識があいまいなうちに、理想を書いても絵に描いた餅になってしまい、現実味がなくなってしまいます。
カスタマージャーニーマップでは、ペルソナの行動や思考・感情、接点(タッチポイント)を時系列に書き出していくのですが、プロダクト開発が進むにつれて、単純な時系列ではなく、購買行動や顧客獲得に向けた「ファネル」別にまとめるのが効果的です。ファネルとは、顧客がプロダクトを認知してから実際に購入に至るまで、また購入後の行動までを、段階的に表したモデルのことです。一般的には、認知、興味関心、比較検討、購入で捉えることが多く、購入後の推奨(口コミ)やリピート購入まで捉えることもあります。

ファネル別に整理する際は、細かく網羅することよりも、次のアクションにつながった点、もしくは離脱や障壁になった要因を中心にまとめるのがよいでしょう。また、カスタマージャーニーマップ作りは、使い道を明確にせずに取り留めなく進めてしまうと情報が散漫になってしまいます。開発のどの段階で、何を明らかにしたいのかを定め、テーマに対してキーとなる思考、行動、感情やトリガーとなった出来事、瞬間を捉えることを意識しましょう。
重要な点が明らかになった後は、課題や対策を考えます。一例として、「現状」と「理想」のフィット&ギャップを捉えて、ギャップの要因になっていることは何か、それに対してどのような対策をするのが効果的か、などを考えると次につなげやすいと思います。
繰り返しになりますが、ペルソナもカスタマージャーニーマップも、次に何につなげるかを意識せずに、何となく作ってしまうと「役に立たなかった」となりがちです。目的やゴール、テーマをしっかりと定めて作業するようにしましょう。
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