ロードマップ:ストーリーを伝える
次の四半期に扱うアイデアを特定したら、次はロードマップでストーリーを伝えます。アトラシアンでは、プロダクトチームごとにJira Product Discoveryで異なるロードマップレイアウトを使用していますが、ここでは例として、以下の3×3グリッドを見てみましょう。

このシナリオでは、この時点で、達成しようとしているビジネス目標と、グループで策定したプロダクト戦略に基づいて、これが今投資すべき正しいことであると確信しているため、このような簡略化された列を使用しています。
アトラシアンでは、ロードマップに確信が持てたら、Loom(ビデオコミュニケーションツール)で録画して、上級管理職と協力し、経営陣の賛同を得ます。アトラシアンはグローバル企業であるため、コラボレーションを迅速に進めるには非同期のコミュニケーションが鍵となりますが、Loomはこれを完璧に実現しています。

プロダクトチームはLoomを使ってプレゼンテーションを録画します。経営陣は、録画されたビデオをみながらロードマップを確認し、ウォークスルーを行います。Loomでは、ビデオの特定の時点にコメントを投稿することができます。プロダクトチームは、回答が簡単なコメントに対しては、Loom内で直接回答しますが、より深いコミュニケーションが必要な場合は、プロダクトマネージャーが経営陣とのオンライン会議を設定します。
プロダクトの構築
それでは、正しいものを構築する作業に取り掛かりましょう。アトラシアンでは、ロードマップのアイデアごとに、プロダクト要求仕様書(PRD:Product Requirement ;ワンページャーや仕様書とも呼ばれます)を作成しています。

これらのPRDはプロダクトマネージャーが作成し、ビジョン、機能、および範囲について明確かつ詳細に記述しています。特定の機能の詳細な動作はFigmaで説明します。
PRDの目的は以下のとおりです。
- 全員に共通認識を持たせる:プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナー、および利害関係者をはじめとするすべての関係者に、構築する内容とその理由について共通認識を持たせます。この明確さが欠けていると、チームはビジネスやユーザーのニーズを満たさない機能を構築してしまうおそれがあります。
- スコープの拡大を防止する:構築すべきものの境界を定め、その結果として、構築すべきでないものを明確にします。
- チームの効率を向上させる:文書化された要求により誤解を最小限に抑え、再作業の必要性を減らし、タスクの確認のための会議の必要性を削減することで、チーム効率を向上させます。
アイデアを整理整頓する
PRDを作成すると、今行うべきタスク、後で完了させる必要のあるタスク、今完了させなくてもよいタスクを可視化できるようになります。
また、改善をリクエストしたすべての人の記録を残すことで、進捗を共有し、フィードバックを収集できます。ポジティブな反応がない場合や反応自体がない場合、戦略を見直し、再検討することができます。

ボードビューのロードマップによって、全体を俯瞰しながら実行すべき作業の全体像を提供できます。また、PRDをConfluenceページに埋め込んだり、Figmaで作成したデザイン情報とリンクしたりして、タスクに関連した情報を一元管理できるようになります。タスクはSlackチャネルにブックマークしてコミュニケーションを効率化することも可能です。
エンジニアリングの開始
明確な計画とロードマップが策定されたら、次はコードの記述を開始します。
以下の例では、当社のプロダクトの設定に困難を感じている管理者であるお客さまからのフィードバックに基づいて、大規模なユーザー管理機能を実装する必要があるというシナリオを取り上げます。
この場合、エンジニアリングチームは、達成すべきすべての作業をリストアップするために、エピック、ストーリー、タスクからなるデリバリーバックログを作成しました。その後、Jira Product Discovery側の対応するアイデアにリンクすることで、エンジニアにステータスの更新を頻繁に要求して彼らの注意をそらすことなく、関係者にすべての情報を完全に公開することができます。

エンジニアは、自身の行動が全体目標に与える影響を完全に把握できるため、プロセスへの参画意識が高まります。

このシナリオでは、リリース済みと開発中のタスクのリアルタイムなステータス更新を追跡できます。ビューの右側にあるアクションは現在詳細が未定ですが、それらを破棄せずに可視化したままにしています。
この場合、プロダクトチームは毎週ミーティングを行い、デモを行います。そして、プロダクトチーム自身が、お客さまよりも先にプロダクトや機能を最初にベータテストします。これにより、プロダクトが一般公開の準備ができていることを確認し、検証することができます。期待を満たさない場合は、Figmaに戻って再検討を行います。