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Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

イベントレポート

AIエージェントの乱立とデータのサイロ化をどう乗り越えるか? Notionが示す「協働型AI」とプラットフォーム統合の未来

 5月27日、Notionの開発者向け新機能に関する記者説明会が開催された。今年2月の「カスタムエージェント」リリースにより、人とAIが並走する協働型AIワークスペースへと進化した同社。本説明会では、米国本社プロダクトマネージャーのエリック・ゴールドマン氏が来日し、新基盤「Developer Platform」の全貌をデモ交え披露した。本稿ではプロダクトマネージャーの視点から、開発現場におけるAI活用の現在地と、Notionがもたらす「エージェント・オーケストレーション」の可能性、そしてプロダクトマネージャーの「調整コスト」を最小化する未来をレポートする。

記者説明会に登壇したNotion米国本社 プロダクトマネージャーのエリック・ゴールドマン(Eric Goldman)氏
記者説明会に登壇したNotion米国本社 プロダクトマネージャーのエリック・ゴールドマン(Eric Goldman)氏

AIトランスフォーメーションの「まっただ中」で立ち往生する現場

 あらゆる企業がAIの活かし方を模索する中で、AIトランスフォーメーションは長い道のりであるとゴールドマン氏は語る。同氏によれば、企業のAI導入には明確な段階が存在する。

AI導入の成熟度を示す4つのレベル。多くの企業はレベル2付近で停滞しているという
AI導入の成熟度を示す4つのレベル。多くの企業はレベル2付近で停滞しているという

 レベル1の「思考パートナーとしてのAI」(チャットツールなどによる検索の代替)から始まり、レベル2の「アシスタント」、レベル3の「チームメイトとしてのAI」(反復作業の自動化)、それから最終的なレベル4の「システムとしてのAI」(エンドツーエンドで業務を遂行する段階)へと進化していく。

 しかし、現実には多くの企業がこのAIジャーニーの途中で立ち往生している。ドキュメントの草案作成や会議の記録といったタスクでAIを活用できていても、AIに「自分たちのための仕事」をさせる段階には至っていないのが現状だ。

 特に、プロダクトマネージャーをはじめとする開発チームのようにAIを活用してプロトタイピングや機能開発のスピードを劇的に向上させている部門がある一方で、マーケティングや営業、サポートといった他部門がそのスピードについていけず、社内に摩擦が生じている。この分断を解消し、AIによる生産性向上の波を全社へ波及させるためには、さらなる環境整備が不可欠となる。

 ゴールドマン氏は、AIが真の実力を発揮できない原因として、以下の3つの壁を挙げた。

  • データのサイロ化:エージェントが必要とする情報が、数十のツールに散在している
  • ツール連携の欠如:エージェントがワークフローの実行に必要なツールを使用できない
  • エージェントの乱立:増え続けるエージェントを統合管理する共有スペースがない

Notionが「オーケストレーション層」へ進化する

 これらの課題を解決するため、Notionがアプローチとして提示したのが「Developer Platform」である。このプラットフォームは、企業内のあらゆるデータを1つのコンテキストに統合し、チームとエージェントが協働するための共有キャンバスを作り出すことを目的としている。

 具体的には、以下の3つの柱で構成されている。

  • あらゆるデータソースを同期:API経由で外部システムからNotionへデータを継続的に同期し、常に最新の正確な情報源に基づく作業を可能にする
  • あらゆるツールを構築:MCP(Model Context Protocol)の限界を超え、エージェントが作業を遂行するためのカスタムツールを開発できる
  • あらゆるエージェントのオーケストレーション:Codex、Claude、Cursorといった最先端のエージェントをNotionのUI上で直接稼働させ、1か所で統合管理する
Developer Platformが支える3つのケイパビリティ。インフラ不要で構築可能な点も特徴だ
Developer Platformが支える3つのケイパビリティ。インフラ不要で構築可能な点も特徴だ

 「エージェントにできる仕事は人間でもできるべきだし、人間のメンバーができる仕事はエージェントでもできるべきだ」とゴールドマン氏は強調する。一元化されたAIプラットフォームにおいて、人間とAIが同じドキュメントを見ながらコラボレーションすることこそが、成功の鍵となる。

実例:Notion×Jiraのシームレスな同期とAI起票

 説明会では、プロダクトマネージャーの実務課題に直結する実践的なデモンストレーションが行われた。要件定義やドキュメントを管理する「Notion」と、開発チームがタスク管理に使う「Jira」を連携させるというものだ。

デモで披露されたJiraデータとの同期。Notionのキャンバス上ですべての情報が一元化される
デモで披露されたJiraデータとの同期。Notionのキャンバス上ですべての情報が一元化される

 デモでは、以下の3つのステップで構築が進められた。

1. 新しいNotion Workerのセットアップ

 Notionの新しいCLIツール「ntn」を使用し、ターミナルからコマンドを実行して、同期処理を担う「Worker」をローカル環境に構築する。このCLIは、コーディングエージェントが使用することを前提に設計されている点が特徴だ。

2. コーディングエージェントによる同期プログラムの構築

 デモでは「Claude Code」が用いられた。CLIにはプラットフォームの使い方をAIに教えるスキルが組み込まれており、AI側から「どのJiraデータを同期するか」といった質問が投げかけられる。開発者(あるいは技術に明るいプロダクトマネージャー)は、対話形式で要件を答えるだけでよい。AIが自律的にコードを生成し、テスト・修正までを行う。

3. Notion上で同期されたJiraデータを確認

 同期システムがデプロイされると、Notionのキャンバス内にJiraのIssueやプロジェクトのデータが、Notionネイティブな「データベース」や「ページ」として完全に統合されて表示される。

 さらに注目すべきは、単なるデータの閲覧にとどまらず、Notion上のAIエージェントから直接Jiraを操作できる「カスタムツール」まで構築できる点だ。プロンプトで「Jiraチケットを検索、更新、作成できるカスタムエージェントツールを構築してください」と指示するだけで、AIがソフトウェアの記述から検証、デプロイまでを完了させる。

 これにより、「プロダクトマネージャーがNotion上でロードマップを描きながら、AIに指示するだけでJiraに開発チケットが自動で起票される」という、シームレスな業務フローが実現する。

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

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