チームの“認識のズレ”をなくしたい――コロナ禍で注目のクラウド型ワークスペース「Strap」開発の経緯
――まずお2人のご経歴や現在担当されている業務についてお聞かせください。
北村:もとはエンジニアやWebディレクターを経験し、グッドパッチにはUXデザイナーとして入社しました。クライアントワークでマネージャーを経験した後、2020年の2月から、自社プロダクトを開発するプロダクトDivの事業責任者となり、「Strap(ストラップ)」やプロトタイピングツールの「Prott(プロット)」を担当しています。
西山:私も北村と同じくプロダクトDivに所属し、エンジニアリングマネージャーとして開発と運用の責任者を務めています。3年前にフロントエンドエンジニアとして入社し、「Prott」 のリニューアルプロジェクトを経て「Strap」の立ち上げのタイミングでマネージャーの現職となりました。以前はSIerやスタートアップにいて、フルスタックエンジニアとして要件定義から設計・開発・運用まで担当していて、直近はフリーランスで業務委託としてグッドパッチのプロダクトに参加していたのですが、カルチャーが肌に合ったこともあり入社することになりました。
――このたびローンチされた「Strap」が開発された背景や、ソリューションとしての価値などについてお聞かせください。
北村:「Strap」はチームで仕事を進める全ての人々のための「クラウド型ワークスペース」です。「オンラインホワイトボード」のように、リモート会議でもリアルタイムで図解や共同編集をしながら議論ができるというもので、2020年4月にβ版を発表し、9月に正式版をリリースしました。
2018年の秋冬くらいから構想があり、2019年に入ってすぐアイディエーションを開始して、3か月かけてデモを作成し、スプリントを繰り返しながらブラッシュアップしてきました。2020年に入って新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急増したことを受けて、急きょβ版を発表したという次第です。反響は大きく、正式版についても多くのお問い合わせをいただいています。
西山:β版がコロナの時期と重なったのでリモートワーク用のツールのように思われていますが、当初は必ずしもオンラインだけを意識したわけではないんです。
もともと私たちがチームで仕事をする上で、情報や認識を共有する重要性を実感しており、そのための手法やツールを模索してきました。その中で完成イメージの共有を目指して開発したのが、2014年10月にリリースした「Prott」です。「1000の会議より1つのプロトタイプ」をコンセプトとしており、コードを書かずとも簡単にプロトタイプを作成できるので、イメージを可視化して関係者間の“認識のズレ”を是正することができます。
しかし、“認識のズレ”はもっと手前で発生することもあります。誰もが簡単に考えやイメージを図式化・ビジュアル化し、チームで共有できれば、認識のズレを随時是正し、共通の認識のもとで効率的に議論や作業を進められると考えました。それが「Strap」の開発のきっかけです。
北村:市場的な視点で見ると、世界にはいくつか「オンラインホワイトボードサービス」が存在しており、当社もユーザーとして試すこともしました。しかし、外国語であることや、日本企業にとってはセキュリティやサポートの面で不安もあり、自分たちで開発することを考えるようになりました。幸い大企業から中小企業までお付き合いがあり、その知見をもとに“日本企業に最適な”オンラインホワイトボードサービスを開発できればと思ったのです。
そうして誕生した「Strap」の一番の特徴は、「シンプルで使いやすく誰でも使えること」にあります。既存の多くの製品は機能過多で操作が複雑であるものが多いのですが、「Strap」はできるだけ機能や選択肢をそぎ落とし、直感的に操作ができるようにしています。