はじめに
はじめまして。篁(タカムラ)と申します。freee株式会社でUXデザイナーをやっております。
前回の記事では、弊社プロダクトマネージャー宮田よりプロジェクト管理freeeのキックオフから経営陣の投資判断にこぎつけるまでのストーリーをご紹介させていただきました。
今回、私からはMVP(Minimum Viable Product)をチームとして定義し、本格的な開発着手に至るまでのストーリーを中心にお話しできればと思います。
漠然としたプロダクトのアイデアから始まり、現在の案件収支管理にフォーカスしたプロジェクト管理freeeの姿に至るまでの経緯を、取り組みやデザインプロセスといった実例を交えながらご紹介いたします。
freeeにおけるUXデザイナーの役割とは?
会社によってUXデザイナーに期待される役割には幅がありそうですが、freeeではプロダクトの企画からUI設計までが責任範囲となります。弊社は主に業務向けSaaSを提供する会社ですので、想定ユーザーの業務理解から始まり、それをクラウドサービスの形に落とし込み、ユーザーがPCの画面を通して目的を達成できるようにするまでが仕事です。
ですので、社内外含めさまざまな人たちとコミュニケーションをとりながら業務を行うわけですが、特にプロダクトマネージャーとはその機会が多くなります。
その中で、一緒にどんなユーザーのどういう要望を叶えればいいのかを決め、解決方法を考え、検証可能なものを作り、エンジニアが実装できるところまで持っていきます。UXデザイナーはそのプロセスの中でも特にユーザーリサーチや、チーム全体を巻き込んだデザインプロセスの整備、UI作成においてイニシアチブを発揮することが求められます。
誰に何を届けるためのサービスを作るのか?
私は2019年4月にfreeeに入社したのですが、実はこのプロジェクトにジョインすることは入社前からほぼ決まっていました。
「いったい、どんなものを作っていくんだろう」という大きなワクワク感と少しの不安を抱え入社し、ひと月がたった頃にキックオフを迎えました。
その時点では「ホールプロダクト」というプロジェクトコード的なものが決まっていただけで、どんなユーザーにどのような価値を提供するためのサービスなのかはまだ漠然としていました。
「バックオフィス業務向けのサービスではなく、フロント業務向けであること」「freeeのメインプロダクトである会計freeeや人事労務freeeと併用することで価値が向上するようなサービスであること」「経営状態の可視化により、どんぶり勘定を脱する助けとなるツールであること」などは制約としてありましたが、それだけでは大まかな方向性しか定まりません。
ですので、まずはそこからチームとしてサービスの方向性を固めていく必要がありました。
1週間のデザインスプリントを経て、磨き込んでいく価値がありそうなものは見えてきたものの、ここからMVPとしての形を見極めるまでには、さらにいくつかのステップを要しました。