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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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プロダクト開発の先進事例に学ぶ、キーパーソンインタビュー

“チーム全員プロダクトオーナー”の開発――グッドパッチが重視する、デザインプロセスのメソッドとは?

グッドパッチのプロダクト開発インタビュー 後編

 デジタルプロダクトのUI/UXデザインを強みとし、戦略・ビジネスモデルやブランドなどのデザインにも提供価値を広げてきたグッドパッチ。多くの企業に優れたデザインワークを提供する一方で、業務をサポートするツールやソリューションを自社プロダクトとして開発し続けてきた。今年9月にはチームでのコラボレーション実現を目的としたクラウド型ワークスペース「Strap(ストラップ)」をローンチし、注目を浴びている。本記事では事業責任者としてプロジェクトを牽引する北村篤志氏、開発部門の責任者を務める西山雄也氏にインタビュー。後編の今回は、プロダクトの提供価値を全員が合意して決める特徴的なメソッドや、新型コロナウイルスの影響でのリモート開発についてうかがった。

提供価値を16項目にまとめ、具現と抽象を行き来しながら常に見直す

――プロダクト開発の過程では、さまざまなフィードバックがあり、まとめるのは大変だと思うのですが、意思決定はどのようにして行われるのですか。

北村:カリスマ的なプロダクトオーナーが一存で決めるわけでも、多数決や部署間の力関係で決めるわけでもなく……、「みんなで決める」というと、漠然としているでしょうか(笑)。

 チームのメンバーが同じ目的・価値観を共有できていれば、おのおの異なる観点からの情報を提供し、議論することで自然と着地点が決まるように思います。私は事業責任者として戦略的な市場的・営業的部分を、西山はエンジニアとして技術的な観点から実現性などを、デザイナーやカスタマーサクセスもそれぞれの立場から意見を述べ、判断します。最も関与性の高い人がそれ以外の人たちの意見や与えられた情報をもとに判断するというところでしょうか。

グッドパッチ プロダクトDiv 事業責任者 北村篤志氏
グッドパッチ プロダクトDiv 事業責任者 北村篤志氏

西山:同じ目的・価値観が共有されていれば立場が違っても、そう大きな齟齬が生まれることはないように思います。その意味で、事業責任者としての北村の役割は重要で、「どのような提供価値をいつまでに」といった基本的な方向性を示し、常に振り返る場を提供し続けていくことが求められます。

――そういった価値観の共有、ビジョンやミッションの重要性はよくいわれることですが、掛け声だけで終わるケースも少なくありません。グッドパッチではどのようにして意識づけし、共有し続けているのでしょうか。

北村:アイデーションを経てロードマップを作成する際に、「Strap」の提供価値を12項目に言語化してまとめ、それに紐づく機能を開発タスクに落とし込み、価値マップとしてビジュアル化しました。いわばプロダクトオーナーの頭の中だけにあったものを可視化して、全員に共有することで、「自分が何を実現しようとしているのか」を一人ひとりが考えることができます。同時に他の人が何をしているか、何のためにしているのかが理解できるというわけですね。

 それぞれに開発タスクが紐づいているので、2~3か月に一度は見直し、項目の重みづけを変えたり、ペルソナのアップデートをしたりしてきました。

「Strap」の価値マップ(一部加工)
「Strap」の価値マップ(一部加工)

西山:私たちにとってまさにバイブルですね。やりたいことがいろいろと出てきて、一方で状況はどんどん変わっていく中で、ここに立ち返ることで大切なことやプライオリティーを確認できる。例えば、「Strap」の特徴である「シンプルさ」についても、リモートワーク慣れしていないユーザーが増えている状況を反映し、より重要性が高まっていると誰もが共通認識を持ったことで実現できたといえます。

 トップが決めたタスクをこなすだけでは、プロダクトのディテールに思想を入れ込むことができません。誰もが「なぜその機能をそうするのか」について腹落ちし、同期できていることが大切です。エンジニアは良くも悪くも機能やタスクベースで物事を考えがちですが、こうしたデザインプロセスのメソッドを用いることでユーザー価値から考えることができるのも当社の強みといえるでしょう。

グッドパッチ プロダクトDiv マネージャー/プログラマー 西山雄也氏
グッドパッチ プロダクトDiv エンジニアリングマネージャー/プログラマー 西山雄也氏

北村:チームの編成や大きさもちょうどいいのかもしれません。チーム内にビジネス観点から見る人、エンジニア、デザイナーに加えてカスタマーサクセスが入っていて、垣根なくコミュニケーションができる。例えば、ユーザーがエンジニアのインタビューに同席することもあれば、カスタマーサクセスから使いやすさについてデザイナーにアドバイスすることもある。認識を共有するのによいサイズなのではないでしょうか。それぞれ専門性のもと情報や意見を持ち寄りつつ、最終的には全員それぞれが総合的に判断できる、“全員プロダクトオーナー”のようなチームになっているのだと思います。

西山:それ、ちょっとかっこよすぎかも(笑)。でも、確かに1つの観点だけでプロダクトを作ることはもう難しい時代になってきたのかもしれませんね。

 こうしたプロセスをうまく回すコツとしては、抽象と具体を頻繁に行き来することだと思います。例えば、プロトタイプも具体化の一つ。具体を踏まえて議論をすることで、抽象的な価値をアップデートできるのだと思います。「Strap」もはじめから同じ価値を追求していますが、議論を繰り返す中でより現実的に解像度を高めていきました。

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社会の変化に対応し、企業のチームによるリモートワーク支援を強化

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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