フォースタートアップスは、同社の提供する成長産業に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」において、スタートアップ企業や投資家、事業会社などが含まれる「STANDARD会員」を対象に実施した、「スタートアップ育成5か年計画に係るアンケート調査」の結果を3月29日に発表した。同調査は、2月13日~17日の期間に行われ、255件の有効回答を得ている。
調査対象者に、投資金額を10兆円規模とする政府目標について実現可能かどうかを尋ねたところ、「おそらく実現できない」が33.6%に達し、「実現できない」(10.4%)と合わせた割合が44%を占めた。投資を受ける側のスタートアップは、「実現できる」と「おそらく実現できる」を合わせた割合が30.1%と比較的高く、出資する側の投資家は「実現できない」だけで23.1%に達するなど、冷ややかな反応を見せている。
スタートアップ支援策が盛り込まれた「育成5か年計画」について、どのように感じるかを尋ねた質問では、「期待できる」と「やや期待できる」を合わせた割合が、スタートアップでは76.3%、投資家では76.9%、事業会社では54.3%といずれも高かった。
育成5か年計画の3つの柱である、「人材・ネットワーク構築」「資金供給の強化・出口戦略の多様化」「オープンイノベーションの促進」について、もっとも実現を期待したいものを選んでもらったところ、スタートアップ、投資家、事業会社いずれも「資金供給の強化・出口戦略の多様化」が最多となっている。とりわけ、資金調達を重ねてIPO(新規株式公開)などのEXITを目指すスタートアップは73.8%に達し、大きな期待を寄せていた。
育成5か年計画のうち、「資金供給の強化・出口戦略の多様化」における施策の1つである「非上場株式のセカンダリーマーケット」ついて、どのようなことを期待しているかを尋ねた質問では、「ファンドの償還期限に関わらない資金調達ができ、IPOまでの猶予ができる」(58.8%)がもっとも多く、以下「保有する株式を売却して現金化する手段が増える」(23.8%)、「海外投資家の参加が期待できる」と「退職する創業メンバーらの株式の売却先になる」(どちらも6.3%)が続いている。なお、投資家の回答では「IPOまで時間がかかるが有望な企業へ投資しやすくなる」(30.8%)が最多となった。
アンケートの自由記述欄では、スタートアップ企業側からは海外との差を挙げる回答が複数上がっており、「出資や投資額が世界に比べて低すぎて、日本のスタートアップの育成や出口先を狭めている」「日本では隙間産業のスタートアップ企業ばかりで、世界を圧倒する本物のスタートアップ企業がない」といった厳しい意見も寄せられている。
具体的な要望としては、「支出裁量の大きい、もしくは人件費を補填する補助金の創設」や「基礎研究を必要とするディープテックスタートアップへの長期(5年超)の投資」といった意見が寄せられたほか、出資やM&Aなどをする側の事業会社からは「税制優遇等を考えてほしい」といった、スタートアップ投資のメリットを求める声が複数寄せられた。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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