はじめに
プロダクトを成長させるうえで、「プロダクトそのもの」の磨き込みに注力するのは当然のことです。UI/UXの改善、機能の追加、ユーザー要望の反映──こうした取り組みは日々行われています。しかしその一方で、プロダクトマネージャーや経営者の方々からよく聞かれるのが、「営業やカスタマーサクセスなど、プロダクトの『外側』の領域がボトルネックになっている」という悩みです。
例えば、営業担当が変わるだけで成約率が大きく下がる。成果の出るトークやプロセスが属人化し、他のメンバーに展開できない。組織をスケールさせたいのに、営業活動が個人のスキルや経験に依存している──。こうした状況に直面したことのある方も多いのではないでしょうか。
エッジコネクションでは、こうした課題に対して「営業支援そのものをプロダクトとして設計する」というアプローチで向き合ってきました。人の能力や勘に頼らず、誰がやっても一定の成果が出るように仕組みを整える。つまり、営業という無形の活動に「再現性」を持たせる支援を行っています。
本稿では、エッジコネクションが実際に行っている営業支援のプロセスと考え方を紹介します。コードを書かなくても、「届け方」や「ユーザーとの接点」をプロダクト的に設計することは可能です。非エンジニア領域におけるプロダクトマネジメントの応用例として、プロダクトリーダーを目指す皆さまの参考になれば幸いです。
営業支援を「仕組み」として提供するとは?

営業支援という言葉から、リード提供やテレアポ代行といった「入り口の部分」を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、それらも重要な活動の一つではあります。しかし、当社が取り組んでいる営業支援は、そうした点の施策にとどまりません。むしろ、営業というプロセス全体を「再現性のある仕組み」として設計することに重きを置いています。
属人化された営業は、成果の波が激しくなりがちです。たまたまスキルの高い営業がいれば売れるが、別の人では成果が出ない。人に依存している限り、教育にも時間がかかり、組織の拡張性も制限されてしまいます。特に、立ち上げ期やスケールフェーズにある企業では、この「人に頼らない売上づくり」が喫緊の課題になります。
そこで当社では、「仕組みで売上を支える」ことを支援の核としています。営業プロセスを抽象化・構造化し、誰が担当しても一定のパフォーマンスが出るように、ナレッジの「型化」を行います。例えば、商談の流れをフェーズに分けてステップを定義したり、ヒアリングで使う質問やトークスクリプトを汎用化したり、アプローチ先の優先順位をデータから導き出したり──そうした各所の判断や行動を、仕組みによって標準化していきます。
こうした設計は、SaaSやプロダクト開発における「仕様設計」と本質的には同じ構造を持っています。「この機能がこの結果を生む」といった因果関係の理解と、「この流れで進めれば成果が上がる」という型の提示。営業もまた「ユーザーに価値を届ける体験」である以上、そこに設計思想を持ち込むことはごく自然なアプローチなのです。
当社の営業支援は、単なる外注ではなく、「人ではなく仕組みによって成果を出す」ための設計支援です。属人化を防ぎ、誰でも使える形に落とし込むことで、営業組織を持たない企業でも、持続的かつ拡張可能な「売れる構造」を手に入れることができます。