One Capitalは、国内SaaS市場の動向や2023年における予測をまとめた「Japan SaaS Insights 2023」を、3月30日に公開した。
Japan SaaS Insights 2023は、おもにB2B SaaSスタートアップへ出資する同社が、年に1回発刊するレポートの最新版で、国内SaaS市場の民主化を目指して以下のような内容をまとめている。
- 日本におけるSaaS市場の動向
- SaaSスタートアップの資金調達動向
- SaaSスタートアップの経営状況
- SaaS上場企業のマーケット動向
- 2022年に最も読まれたブログ
- 2023年におけるSaaS市場の予測
ガートナーから発表された調査結果によれば、2022年の国内エンタープライズIT市場規模は、前年より5.2%増の27.2兆円であり、2023年には4.7%増の28.5兆円まで拡大すると予測される。2022年における国内SaaS市場の規模が1.1兆円であることから、同市場が国内エンタープライズIT市場に占める割合は約4%となる。
また、Expart Market Researchによれば、アメリカではIT支出に占めるSaaS市場の割合が約15%となっており、もし国内SaaS市場がアメリカと同水準に拡大した場合、同市場規模は現在の3.7倍にあたる4兆円にまで拡大する可能性がある。さらに、国内エンタープライズIT市場そのものが成長しているため、SaaS市場はさらに大きくなることが予想される。

国内SaaSスタートアップの資金調達額は、前年比17.5%増の2,063億円と過去最高に達した。一方で、調達件数は12.5%減の259件となっており、1社あたりの調達額が大きくなる傾向が加速している。
アメリカにおけるSaaSスタートアップの調達額は26.5%減の720億ドル、調達件数は18.4%減の3777件と急減速する一方、国内ではLegalOn Technologies(136.6億円)やアンドパッド(106.7億円)がメガラウンドを実施し、ミドル・レイター企業が市場を牽引していることを受けて、スタートアップ調達額におけるSaaS企業の比率は23.5%と過去最高水準となった。この水準は2018年のアメリカと同等となっている。

SaaS未上場企業のCEOや事業責任者に、現在の景気感について尋ねたところ、「インフレや市況悪化による影響を感じている」という回答が6割超を占めた。ドル高にともなう、サーバ費用やツール利用料の高騰がマージンを圧迫している可能性がある。

国内市場は、2022年にアメリカの利上げによってテック企業やIPOしたばかりのスタートアップの株価が下落し、景気後退懸念からベアマーケットが続いたことから、大きく下落した。SaaS企業もその影響によって、「One Capital Cloud Index」が128.5ポイント下落している。
長期的にみれば、SaaS企業は高いパフォーマンスを維持しており、2018年以降では主要指数をアウトパフォームしているものの、足元ではSVB破綻をきっかけとした金融不安が広がるなど、景気先行きが不透明な状態が続いているため、インフレの再燃も懸念される。

ジェネレーティブAIの「Foundation Model(OpenAIなど)」「Middleware(Hugging Faceなど)」レイヤでは、すでに海外企業が覇権を握っているため、Application(SaaS)レイヤへ参入する国内企業が急増すると予測されている。また、従来のSaaSにジェネレーティブAIが搭載されることで、生産性の飛躍的な向上が見込まれ、とりわけブログコンテンツや画像生成といった、マーケティング/デザイン領域に適する。
福利厚生の一環でジェネレーティブAIの利用を推奨する企業が出現する一方で、ChatGPTを利用禁止にする企業もあり、今後はAIを「使いこなせる人」と「使いこなせない人」の二極化が進むと予想される。

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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