はじめに
こんにちは。ベーシックのSaaS事業部にて「ferret One」のカスタマーサクセス部長を務めている秋(@jaesoon_aki)と申します。
ferret Oneでは、カスタマーサクセス部を中心に顧客の声を活かしたサポート体制で、プロダクト改善に取り組み、約7カ月で開始当初46.2%だった契約継続率を87.5%まで伸ばしました。この連載では、その試行錯誤の中で気づいた「顧客と向き合いながらプロダクトを磨いていくためにできること」について、全3回にわたって書いています。
- 第1回:「『顧客の声を反映する』プロダクトづくりはなぜ難しい? 契約継続率2倍の施策に学ぶ、チーム連携の重要性」
- 第2回:「顧客の声を吸い上げ、プロダクトづくりに適切に活かすには? ヒアリングと共有の仕組みについて」
- 第3回(本記事):「プロダクト活用率をどう上げる? 使い続けてもらうためのユーザーとの向き合い方」
最終回となる今回は、「プロダクトがあまり活用されていない」という課題に対して顧客のプロダクト活用率を上げるために行った施策についてご紹介していきます。この記事が、プロダクト開発に関わるみなさまのお役に立てば幸いです。
サービスの成長のため、顧客のツール活用度を上げフィードバックを得られるように
第2回までで解説したように、顧客の声の吸い上げを行い、徐々にferret Oneのサービス改善が進んでいましたが、一方で、「顧客によるferret Oneの活用度が低い」という課題が、顧客訪問にて顕在化していました。
活用率が低いことにより
- 「このツールはそもそもあまり使っていないから」と解約されてしまう
- 本来ferret Oneが活用されていれば得られる顧客からのフィードバックを得られないためプロダクトの改善や成長が鈍化する
といった問題が発生しており、一刻も早く活用率の改善をしたいと考えていました。なぜ活用率が低いのか、要因を洗い出したところ、以下の仮説が生まれました。
- 顧客が他の業務で忙しい中、そもそもferret Oneを操作する時間を取れない
- 顧客がferret Oneの使い方を理解できていないために活用が進まない
また、当時サポートチームが「問い合わせへの返信は必ず30分以内」と決め、顧客の質問に迅速に答えていたにも関わらず、「使っているとすぐにわからないところが出てきてしまうのでサポートに連絡するが、返信を待ってから作業を再開すると作業完了までに想定以上の時間がかかってしまう」といった声を多くいただくことが多かったという事実もありました。
この仮説と顧客の声を踏まえて、顧客がferret Oneで作業するのをサポートする「もくもく会」という施策を開始することにしました。
ferret Oneの場合、機能を活用してマーケティング活動をする際に、機能面での課題・不明点だけでなくマーケティングノウハウ面での課題・不明点にも同時にぶつかり、必要となる知識が多くあります。機能だけであればヘルプページやチャットボットの活用等で素早く解決に導けることもありますが、マーケティングノウハウも合わせて解決する必要があるferret Oneの場合は、課題をその場で解決できる「もくもく会」という形が一番適しているのではないかと考えました。