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「UX DAYS TOKYO 2023」レポート

英国デジタル庁のデザイントップが教えるUX──組織にデザインとリサーチに投資させる方法

「UX DAYS TOKYO 2023」レポート

 真のUXが学べるイベント「UX DAYS TOKYO 2023」が2023年3月31日~4月2日の間に開催された。海外の有識者を6名招くUXイベントは珍しいこともあり、初日のカンファレンスには300名以上が参加し、その後の2日間ではリアルな学びを体験できるワークショップが展開された。本稿ではカンファレンスから、英国デジタル庁(GDS) のデザインヘッドであるLaura Yarrow(ローラ・ヤロー)氏の講演「英国デジタル庁(GDS)のデザイントップが教えるUX」についてレポートする。

UXに必要な「思考」を海外の有識者から学ぶイベント

 3年ぶりの開催となったUX DAYS TOKYOのテーマは「思考」。オーガナイザーの大本あかね氏は、カンファレンス登壇者の一人であるMarc Stickdorn(マーク・スティックドーン)氏の書籍にある一節「デザインには愛が必要だ」や、David Dylan(デビッド・ディラン)氏の書籍にあった言葉「Trust, but verify(信頼せよ、されど確認せよ)」に心を動かされたとし、言葉によって「思考」が変わること、また会場やワークショップでの参加者同士のコミュニケーションによる共感も「思考」の変化や学びにつながることを伝え、オープニングのあいさつとした。

UX DAYS TOKYO オーガナイザーでデジタルマーケティングコンサルタントの大本あかね氏
UX DAYS TOKYO オーガナイザーでデジタルマーケティングコンサルタントの大本あかね氏

ユーザー中心のプロダクト作りは有用だが、組織への浸透は難しい

 ヤロー氏はデジタル業界で14年の経験を持ち、その間にWeb開発者を経てUXデザイナーとなり、現在は英国デジタル庁のデザイン部門のトップを務めている。英国政府がデジタルサービスを提供するサイトgov.ukは、1900以上の政府部門や公共団体、国民健康保険サービスなどの中心に位置している。英国民以外に、英国に訪れる人もこのサイトを利用する。1週間に約1300万人~1500万人、1か月に約1億人がこのサイトを訪れているという。非常に多様な人・用途に応えるサイトのため、ヤロー氏のチームは人々が情報に素早くアクセスできるよう物事をシンプルにすることを使命と考えている。

英国デジタル庁(GDS) デザインヘッド Laura Yarrow(ローラ・ヤロー)氏
英国デジタル庁(GDS) デザインヘッド Laura Yarrow(ローラ・ヤロー)氏

 子どもの頃からSFが好きで、『スター・ウォーズ』や『マトリックス』などの映画を見て育ったヤロー氏は、テクノロジーに興味を抱きコンピューターサイエンスを学んだ。しかし、最初に就いた仕事はWeb開発におけるソフトウェアの修正で、胸踊るものではなかった。そのような中、UXデザイナーとの出会いから、ユーザー中心のプロダクトデザインの提唱者となっていく。ヤロー氏は「私はキャリアを通じて、ユーザー中心のデザイン(設計)が良いものであることを説得する方法を見つけてきましたし、今もそれを続けています」と切り出した。

 ソフトウェアプロダクト組織には、デザイナーや開発者、管理職などいろいろな役割のメンバーがいる。UXというものを理解しているメンバーがいないかもしれないし、UXについて考えようともしないかもしれない。ユーザー中心のデザインや、そのためのリサーチには時間やコストがかかることを懸念する人もいる

ユーザー中心のプロダクトづくりやUXの取り組みにまつわる組織の課題
ユーザー中心のプロダクトづくりやUXの取り組みにまつわる組織の課題

 ヤロー氏は「私のチームにはデザイン担当が1人、ビジネスアナリストが27人、Web開発者が50人ほどいましたが、本当にバラバラで、このように多勢に無勢だと、自分の声を届けるのがとても難しくなります。自分の仕事を認めてもらうために、注目してもらうことは常に戦いなのです」と語った。

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情報によって良さを伝えるよりも、具体的な行動で示すことが大切

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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