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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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30以上のプロダクト開発経験に基づく「新規プロダクトづくり」のヒント

実例から学ぶ新規プロダクト立ち上げからリリースまでのリアル──スケジュールを先に決めない、PRしない

30以上のプロダクト開発経験に基づく「新規プロダクトづくり」のヒント 第2回

 本連載では、メンターマッチングサービス「MENTA」を立ち上げ、現在はランサーズで、生成AIや大規模言語モデル関連の技術を使って新規プロダクト開発やグループ内の生産性向上や課題解決を行う「Lancers LLM Labs」の責任者をしている入江慎吾氏に、「新規プロダクトのつくり方」をテーマに、さまざまな知見を共有いただきます。第2回は、2月にリリースされたばかりの新プロダクトを題材にした、プロダクトを立ち上げてリリースするまでの考え方やコツの解説です。(編集部)

はじめに

 Lancers LLM Labs(以下LLMラボ)の入江です。私たちは生成AIを使って社内外向けに新規のプロダクト開発を行うべく立ち上がったラボです。今回はラボより、はじめての新規プロダクト「Autoron(オートロン)」をリリースしましたので、その題材をもとに新規事業でプロダクトをリリースするまでの経緯をリアルな事例とともに解説します。

今回開発した「Autoron(オートロン)」について

 「Autoron(オートロン)」は、誰でも簡単にオリジナルの業務AIアシスタントが作成できるサービスです。プロンプトの知識などを必要とせず、誰もがAIを活用できる環境をつくれたらと考え開発をスタートしました。

「Autoron(オートロン)」の特徴

  • 独自の設定・ドキュメントを読み込ませて、オリジナルのAIアシスタントを作成可能
  • 作成したAIアシスタントはチームでの共有が可能
  • バナーやプレスリリースなどの画像・長文生成もAIアシストで簡単に作成可能
  • 企業、個人問わず月額1000円から利用可能(トライアルあり)

 今回は、この「Autoron(以下、オートロン)」をリリースするまでの流れについてお話します。

どんなプロダクトをつくるのか

 新規事業でまず考えるべきこと、それは当然「どんなプロダクトをつくるのか」です。

強みを考慮する

 まずは自社の強みを考えていきましょう。他社がまねできないものであればあるほど有利になるからです。小さな会社で優位性がないと思う場合もあるかもしれませんが、例えば小さな会社だからこそ規模が小さなニッチ市場に取り組める、ということも強みになります。

 弊社で考えてみると、LLMラボの強みはランサーズというフリーランスと企業をつなぐプラットフォームを持っていることです。

 まずはじめに、自社のリソースの優位性を考えることからはじめてみましょう。

世の中を考慮する

 プロダクトを出すタイミングも重要です。世の中に求められているタイミングでなければ必要とされません。自社の優位性だけでプロダクトをつくっていても、世間とフィットしなければ求められるものはできないでしょう。

 LLMラボで何をつくるかを考えたとき、「世間の状況として生成AIの認知は高まっており一度使ってみた人も多いが、仕事で実践的に利用している人は少ない状況にある」ということがさまざまな調査レポートや実際の声から分かりました。

 去年の8月時点でGMOリサーチの調査をみても、業務での利用率は10%程度となっています。そのほかのリサーチをみても、おおむね多くても国内では3割程度のようでした。

 この感覚は自分の肌感覚としてもあっており、まわりを見渡しても本格的に活用している人たちはごくわずかだと感じていました。

GMOリサーチ:「【自主調査】生成AIは案ずるより産むが易し?生成AIのビジネス活用への意識、利用状況を日米で比較」より引用
GMOリサーチ:「【自主調査】生成AIは案ずるより産むが易し?生成AIのビジネス活用への意識、利用状況を日米で比較」より引用

 しかし、自分自身もラボのチームメンバーも生成AIを普段の業務で活用しており、生産性も高めることに成功しています。なくなってしまうと困るレベルです。この恩恵をみんなが受けられないのはもったいないと思います。

 そんなところから、「自分たちがプロダクトとしてつくれば生成AIを活用し、誰もが生産性を高められるようになるのでは?」と、これが社会的な課題であるという仮説をたてました。

強みと掛け合わせる

 次にこの課題を解決するために「強み」をかけ合わせるとどうなるかを考えます。

 ランサーズはたくさんのフリーランス、そして仕事の現場に近いところでサービスを提供しており、これは仕事の生産性を上げるプロダクトであるオートロンとも相性がとても良いです。

 オートロンをダイレクトに紹介できる環境がある、そして活用してもらうことで仕事がスムーズになり、より価値が高い仕事ができるという、いい循環が生まれます。そうすればランサーズ自体の存在価値も上がるという相乗効果が見込めます。

次のページ
作りながら考える

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この記事の著者

入江 慎吾(Lancers LLM Labs)(イリエ シンゴ)

1982年生まれ。長崎県五島列島出身。 オンラインメンターサービス「MENTA」など、これまでに30個以上のプロダクト開発を行う。サービス開発について思うことなどを語るYouTubeチャンネルも開設。2020年、MENTAを株式譲渡してランサーズグループにジョインし、参画後もサービスを牽引。2023...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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