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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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グッドパッチ流 UXデザインを生かしたプロダクトマネジメントの実践入門

プロダクトビジョンを形骸化させないための中長期ロードマップへの落とし込み方

グッドパッチ流 UXデザインを生かしたプロダクトマネジメントの実践入門 第2回


 「プロダクトは、誰かのために世界をより良くするための仕組みである」──書籍『ラディカル・プロダクト・シンキング』(翔泳社)では、こう述べられています。プロダクトが誰かのために存在する仕組みである以上、ユーザーを理解しユーザーのための設計を行う「UXデザイン」と「プロダクトマネジメント」は切っても切り離せない関係です。デザインカンパニーであるグッドパッチのプロダクトマネージャーは、UXデザインの強みを生かしてさまざまな企業の支援を行う中でプロダクト開発現場のお悩みに、どのようなアプローチで解決してきたのか。デザインの力を用いてプロダクト開発を前進させるフレームやプロセスを紹介する本連載。プロダクトビジョンの描き方に続き、今回は中長期ロードマップの策定手順を解説します。

はじめに

 前回の記事では、プロダクトビジョンの役割や設計プロセスについて紹介しました。しかし、プロダクトビジョンを立てたものの、形骸化してしまい、うまく活用できていないというケースをよく耳にします。プロダクトビジョンという目的地が遠すぎて、どう向かっていけばいいのかチームで共通認識が取れていないためです。

 このようなケースでは、プロダクトビジョンに向かう道筋を示した「中長期ロードマップ」の策定が有効です。本記事では、プロダクトビジョンを達成するためのステップを示した中長期ロードマップの設計手順の例を紹介します。3~5年程度の中長期的なロードマップを策定する際に、ぜひ参考にしてみてください。

中長期プロダクトロードマップの意義

 中長期ロードマップを策定することにどのようなメリットがあるのか。基本的には前回の記事内のプロダクトビジョンの意義で紹介した、以下の3点を補強するような形になります。

1.プロダクトマネージャーの意思決定の判断基準に使うことができ、メンバーの納得度を高める

 判断軸がプロダクトビジョンのみでは抽象度が高く、プロダクト開発のさまざまなフェーズにおいてすべての意思決定に用いることは難しいです。ロードマップがあることで「今はこのタスクにリソースをかけるべき」といったように、時期や状況に応じて企画の優先度を決められます。このようにして判断された優先度であれば、メンバーもフォーカスすべきタスクに納得度高く取り組めます。

2.企画やKPIを立てやすくする

 プロダクトビジョンを達成するための企画やKPIは、一段ブレイクダウンしたステップがあると、さらに考えやすくなります。

 例えば「ストレスなくオンラインでもコミュニケーションできるようにする」というプロダクトビジョンをかみ砕いて「思い立った時に会話を始められる」というマイルストーンをおくと、どうでしょう。「会話を始めたい相手にメッセージを送る」という企画や「会話が行われた回数」というKPIが浮かんでくるのではないでしょうか。ロードマップ上のマイルストーンを意識することで、具体的な策や指標が立てやすくなり、その結果プロダクトビジョンの達成に近づきます。

3.メンバーのモチベーションにつながる

 プロダクトビジョンは、基本的にすぐには達成できない遠い目標を設定します。そのため、どのようにプロダクトビジョンを実現するのかが示されていないと、だんだんとメンバーのモチベーションが下がってしまうこともあります。中長期ロードマップがあることで、プロダクトビジョンを達成するための道筋が見え、メンバーそれぞれがより自分ごととして取り組む手助けにもなります。

 以上のように、中長期ロードマップを策定することで、プロダクトビジョンを策定する意義を強めることができます。今回は、プロダクトビジョンを起点にして中長期ロードマップを策定するワークを紹介します。プロダクトビジョンを活用しながら、よりチームの目線をそろえたい時に活用してください。

次のページ
プロダクトビジョンから考える中長期ロードマップの策定手順(1)

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この記事の著者

加納 俊平(株式会社グッドパッチ)(カノウ シュンペイ)

新卒でヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社後、スポーツメディアサイトのWebデザインやアプリのUIデザインなどを担当。事業KPIに基づいたデザインや社内用CMSの構築などを経験。2020年3月にUXデザイナーとしてGoodpatchに入社。ユーザーリサーチを元にユーザーモデリングを行いサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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