はじめに
前回の記事では、チーム全員が同じユーザー像を見て開発を進めるための「UXマスター」を紹介しましたが、UXマスターの作成時のみならず、「ユーザーの成長ステップ」の検討では、事標目線とユーザー目線のバランスに頭を悩ませる方も多いと聞きます。事業目標達成を目指すあまり、ユーザー体験がないがしろになってしまうといったジレンマに陥るのは望ましくありません。
今回は、ユーザーにとって「望ましい状態」を「ユーザーの成功」とし、「ユーザーの成長ステップ」の設計時に、ユーザーの成功をないがしろにしないためのポイントとプロセスを解説します。
ユーザーの成長ステップ設計時のプロセスとポイント
ユーザーの成長ステップ設計のプロセス
- ユーザーの「大成功」を定義する(ユーザー目線)
- ロイヤルユーザーを定義する(事業目線)
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ロイヤルユーザーが感じる価値が右肩上がりになるよう、成長ステップを設計する
- 第1段階の価値実現(Quick Win)を最速で導く+離脱者を成長ステップに導く
ユーザーの成長ステップ設計のポイント
1、2は行ったり来たりしながら、同時進行で決めていくのが良いでしょう。
すべてのプロセスにおいて最も重要なのは、プロダクト「外」にあるユーザーにとっての「大成功(ゴール)」に導くのが、プロダクトの役割であるということです。ユーザーのライフサイクルの中に、プロダクト内のカスタマージャーニーが存在することを忘れないようにしましょう。
プロダクトの戦略を考える際、身近で評価されているプロダクトのユーザーの成長ステップを観察するのは有効な手段です。今回はイメージしやすいように、あえてデジタルサービスではなくフィジカルなサービス──筆者が愛用しているSK-Ⅱの「フェイシャルトリートメントエッセンス」という化粧水を例に、解説します。
フェイシャルトリートメントエッセンスはピテラエッセンスという天然由来の発酵酵母が含まれた、160mLで2万3100円という比較的高価格帯の商品で、40年以上支持されているロングセラーアイテムです。
なお、今回の解説はあくまで、広告や実際の店頭体験をもとに筆者が独自で組み立てた仮説であることをご理解ください。