PSFフェーズでプロダクトの本質的な価値を見いだすためには
CPFフェーズでは「顧客の切なる課題」を探りました。その際に想定した「解決策・ソリューション」はラフなものであるため、PSFフェーズでは、解決策の本質的な価値を捉えて、ソリューションとして表現できるよう、アイデアを具体化していくプロセスになります。
PSFフェーズの後半では、ソリューションをプロトタイプとして制作し、インタビュー内で提示して検証することで、「顧客課題に対するソリューションとして適切か」を確かめます。その前段となるパートでは、どうすれば「顧客の切なる課題」を解決できるか、その解決策を必要としているのはどんな人なのかを模索します。CPFフェーズでは、顧客の「悩み・困りごと・ニーズ」に集中して考えていたので、「顧客そのもの」を明確に定義できていません。PSFフェーズではそこから一歩引いて、顧客理解を深める必要があります。その悩みを持つ人はどんな人なのか、どういう状況下で悩みを感じるか、どうすればその悩みを解決できるか、悩みを解決するとどんな状況になるのか、など、その人の人物像とあわせて、体験する事象やその際の思考、行動、感情を考え、顧客を俯瞰的に捉えることが大切です。
プロダクトリサーチでは、それぞれのフェーズで重要なこと(焦点)が異なります。適切に焦点を捉えるために、レンズを開いたり、絞ったりしながら、捉えたいところにピントをあわせていくような気持ちで進めましょう。
CPFの終わりは、顧客の切なる課題が明らかになった状態
ここからは、具体的なプロセスを見ていきましょう。CPFフェーズで仮説検証インタビューが終わった段階では、「顧客の切なる課題」が定義されています。これは、インタビュー前にチームでディスカッションして決めた顧客課題とは異なることが大半です。
先の「グループ旅行幹事の課題」でいえば、事前ディスカッションでは、「4.集合時間に遅れた人、はぐれた人と次にどこで合流するかを考えておくのが大変」といった当日のオペレーションの悩みが深刻なのではないかと考えました。ところが、実際にグループ旅行の幹事にインタビューをすると、「一緒に行く人が、旅行を楽しめているかが常に気になる」という声が強かったのです。つまり、旅行当日の遅刻などはよくあることで、幹事の心配ごとはその先の「みんなが楽しめているか」「楽しい場を提供できているか」に達していたのです。グループ旅行の中でも、特に「社員旅行」の幹事経験者で、その意見が強く出ていたので、ここでは顧客課題を「(社員旅行など)参加意欲が異なる人がいる旅行で、皆が楽しめているか分からない状態を解決したい」と設定しました。