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プロダクトマネジメントにおけるデザインとの向き合い方

ビジネス、技術、クリエイティブの3つの組織の分断を乗り越える「デザインコンセプト」とは?

プロダクトマネジメントにおけるデザインとの向き合い方 第1回


 BTC(Business/Tech/Creative)が部門として分かれている大規模組織では、プロダクト開発に関わる全員がプロダクトの方向性を理解し、適切に連携していく必要がありますが、立場の違いやコミュニケーションの課題から、ズレが生まれることもしばしば。そんな現場で日々苦心しているプロダクトマネージャー(PM)の方も少なくないでしょう。本連載では、特に「デザイン」に関する認識の差から生まれるズレをなくし、健全なプロダクト開発を実現するために、プロダクトマネージャーが押さえておくべきデザインの考え方やヒントを解説していきます。第1回は、BTCそれぞれの役割の違いを明らかにし、それを乗り越えるための「デザインコンセプト」について紹介します。

なぜPMがデザインを理解するべきか?

 この記事ではITプロダクトの開発におけるデザインとの向き合い方について書いてみたいと思います。

 私はこれまでBTC(Business/Tech/Creative)が別部門になっている大きな組織で、クリエイティブの立場からプロダクト開発に関わってきました。規模の小さいスタートアップや新規事業の立ち上げといった組織では、プロダクトマネージャー(PM)の下、デザイナーやエンジニア、ビジネスのメンバーがアサインされるので、BTCが1つのチームとしてプロダクトを開発し、分野を統合した意思決定を下す体制を目指すことができます。一方で、組織の規模が大きくなると、事業部(ビジネス)、開発(技術)、デザイン(クリエイティブ)、など職能ごとに組織があり、各部門からメンバーがアサインされてプロジェクトが組成されることも多いと思います。

 このように組織の規模が大きくBTCが別組織になっている場合、デザインで検討していることとプロダクトの方向性や検討事項の優先順位にズレが生じることも珍しくありません。このズレの原因はさまざまですが、プロジェクトメンバー全員がデザインに関して俯瞰して考えられていないことが多いように思います。

 この記事では、プロダクトマネージャーがデザインについて押さえておくべきことを、プロダクトマネージャーというプロダクトを率いる立場から考えてみようと思います。

 世の中の書籍や記事を見ても、プロダクトマネジメントやデザインに関する専門的な情報はすでにたくさん発信されているので、事例やプロセスに関する知見はそうした別の記事に譲り、プロダクトマネージャーの立場からデザインとエンジニアリングがうまく連携できるヒントを模索し、プロダクトマネージャーがデザインについて考え、デザイナーとコミュニケーションを取る際のヒントを提供できればと思います。

大規模組織におけるBTCの役割について

 最初に、ビジネスと技術、クリエイティブの職能について改めて整理しておくと、

  • ビジネス:ビジネス成果に責任を持つ部門。サービスの施策立案やビジネス成果、マーケティングコミュニケーションなどに責任を持つ。
  • 技術:プロダクトの開発に責任を持つ部門。プロダクトの要件定義や機能開発、ソフトウェアの品質担保などについて責任を持つ。
  • クリエイティブ:プロダクトのデザインを担当する部門。デザインの役割にはユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンス、コミュニケーションなどのデザインが含まれる。

 のように分けられると思います(組織によって三者の役割は多少異なります)。

図1 BTCの役割分担
図1 BTCの役割分担

 BTCのいずれの部門もプロダクトのValue Creation(価値創造)のために活動しているのですが、各職能でValue Creationに関する役割が異なるが故に、プロダクトが目指す方向性に関する考え方や方向性でコンフリクトが起きることがあります。例えばデザインについても、Bは儲かるかどうかの視点で見るかもしれないですし、Tは実装できるかどうかという視点で見るかもしれません。そしてCはそのデザインがユーザーにとって魅力的なのかという視点で見るでしょう。

 BTC三者の役割や考え方を理解しておかないと、プロダクトやデザインコンセプトに関する議論が各職能間で平行線をたどりまとまらないことがあるので、議論が噛み合わない時や、擦り合ってないと感じる時は、こうした各職能の役割や考え方について、相手の立場に立って考えてみるといいかもしれません。プロダクトマネージャーはBTC全体を俯瞰してみる立場にあるので、プロダクト目指す方向性の視点からディレクションや意思決定を行う必要があります。

 では、こうした立場や役割が違う職能と一緒にデザインについて議論を行い意思決定を行うためには、どうすればいいのでしょうか? その答えの一つが、デザインコンセプトの可視化と共有です。

次のページ
デザインコンセプトとは

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この記事の著者

脇阪 善則(ワキザカ ヨシノリ)

 パナソニック株式会社デザイン本部コミュニケーションデザインセンター所属/クリエイティブディレクター。デジタルプロダクトやインターネットサービスのUXデザイン&ディレクションについての経験が長く、現在では同社のアプリやウェブサイトのクリエイティブディレクションや、デジタルプロダクトデザイン強化施策に...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/270 2022/03/31 14:01

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