クライス&カンパニーは、同社が行っているハイクラス転職支援による、ハイクラス層のスタートアップ企業への転職決定数が、2018年からの5年間で約3倍に成長したことを、9月4日に発表した。2024年上半期においても、月次で2倍以上の決定数を記録していることから、いまやスタートアップ企業への転職は、ハイクラス層のキャリアにおける選択肢の1つとなりつつある。
これまで、スタートアップ企業は企業の安定性などでリスクが高い一方で報酬が少ないといった理由から、ハイクラス人材の転職先としてはあまり注目されていなかった。しかしながら、成長スピードなどを背景にここ5年で新卒や若手の転職先の選択肢として増加が始まり、現在はハイクラス人材の新たな選択肢の1つとして、その地位を確立し始めている。
クライス&カンパニーの支援しているスタートアップ企業への紹介実績は、この5年で約3倍に増加し2024年も前年比で2倍以上の成長を続けており、職種別ではIT関連が約4割でもっとも多く、経営・事業企画関連、トップマネジメント、営業がそれに続いた。役職別では、主任・リーダー・シニア層(45%)で最多となり、経営人材・幹部クラスも15%を占めている。
スタートアップ企業が、ハイクラス層の転職先として注目されている理由としては、インターネットやスマートフォン、SaaSなどの普及によって、テック系やIT関連サービスの起業機会が増えており、他の産業と比較してもアイデアがあれば初期投資を抑えながら立ち上げられることから、起業のハードルが格段に下がり多様なスタートアップ企業が誕生していることが挙げられる。
日本ベンチャーキャピタル協会がまとめた「ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2022年度)」によれば、2013年のスタートアップによる資金調達の総額は877億円、調達社数は1348社だったが、2022年にはそれぞれ8774億円、2224社に増加し、9年で資金調達額は10倍、調達社数は1.6倍になっている。その増加傾向は給与額の上昇にも影響し、かつては700万円〜800万円程度が多かったスタートアップからのオファーが、現在では同クラスの人材に対して2倍近い金額が提示されることが多いという。さらに、スタートアップ企業での経験を活かして、イノベーションが起きにくい課題を抱える大手企業に転職するハイクラス人材の動きも活発になってきている。
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