生成AI活用による「社内業務の効率化」、推進において大事なこと
高橋:生成AI活用のもう一つとして挙げられていた「社内業務の効率化」についても教えてください。
宮田:社内業務の効率化に関しては、具体的にいえば旅行ツアーのタイトルの自動生成、社内の特定システムのエラーチェック、QAチームのテストケースの自動生成など、やってきたことは多岐に亘ります。
社内業務の効率化って、それぞれの改善内容が大きなものではなく、積み重ねなことが多いと思っています。なので、一人ひとりが生成AIを使いこなして、進めていくことが大事だなと思っています。
立ち上がり方として、元々は生成AIの文脈ではなく、単純にイシューとして上がっているものを解消するための選択肢として生成AIを使ってみよう、みたいなところから始まってチャレンジしてきました。最近では社内で生成AIを活用するハッカソンの場を設けるなどして、業務改善が本格化しつつあります。
高橋:ハッカソンの企画構成について知りたいです。弊社エクスプラザも企業さま向けにワークショップや研修を企画させていただいていますが、個人としてプロンプトを駆使してChatGPTを使うところまでは理解いただける一方で、組織として生成AIを業務フローに組み込んだり、新規事業のアイデアを考えていただいたりするところまではなかなか難しいことが多いです。令和トラベルとしてハッカソンの場を設けて、意見が活発化できたのはどういった理由でしょうか?
宮田:私が生成AIを試し、社内のいろいろな方にヒアリングを続ける中で、令和トラベルのこの事業や施策に生成AIが使えそうというアイデアがいくつかあったのは大きいです。そのいくつかのアイデアをハッカソンのテーマとして設定して、各チームにそれぞれやりたいことをこの中から選んでください、という形で行ってもらいました。
高橋:つまり、「お客さま向けのコンテンツ生成をChatGPTでできるようにしてみましょう」ぐらいの粒度でテーマを作って、それについて考えてもらうという流れですね。それはよいですね。自由すぎると、議論が手前で発散し、活性化しない。
宮田:そうです。完全に自由にしてしまうとイベントとして失敗してしまう、二度とやらない、となってしまいます。まずは勝ち筋を見つけ、主催が誘導する形でクイックに前提を理解してもらうことが大事かなと思います。
そもそも令和トラベルとして2か月に1回ハッカソンを実施しています。その中で、ハッカソンだからといって遊びではなく、きちんと使われるものを考えようというカルチャーがあります。令和トラベルのバリューの一つである「LEARN NEW ─ 純粋な好奇心」という考えのもと、生成AIを奇をてらわず使うことで、カルチャーとしてもうまくいっているのではないかと思います。
高橋:新しいテクノロジーだからではなく、会社・顧客に対してきちんと使われるかどうかを大事にする。本質的なアプローチですね。
後半では、実際に使用している技術や、社内導入時の課題、浸透のための工夫などをお伺いします。後半もよろしくお願いします。