ユーザーには直接見えない、隠れた生成AI活用
高橋：その他、実はこんなところにも生成AIを使っている、という事例はありますか？
荒井：裏側のデータベースにも生成AIを活用しています。1つは売り手企業さまの売却案件情報と、買い手企業さまのニーズが一部ふわっとしている部分の整理に使っているのと、2つ目はWeb情報を収集して、M&A関連情報として保存する際の整理に使っています。
2つ目に関しては、Web上から有価証券報告書のデータを取得して、上場企業にM&Aのニーズがあるかどうか、M&Aするならどこの事業領域や規模の会社を検討しているのか、ということをマッチング時の情報として活用しています。
有価証券報告書の情報の落とし込みは、元々はまったくやっておらず、生成AIが登場してからできるようになった施策です。生成AIの強みを考えたときに、M&Aクラウドのイシューとうまくフィットすることができた施策だと言えます。
AIはあくまで選択肢。課題ベースで施策を考える
高橋：こうした施策の積み上げは、どのように進めていったのでしょうか。ハッカソンのお話もありましたが、その後AI活用のロードマップを引いたりしたのでしょうか。
熊谷：基本的には課題ベースでソリューションを考えています。その中でAIが選択肢に出てきたときに、施策として検討しています。今回はタイミングよくハッカソンもあり、組織としても活用しやすい土壌があったのかなと。
高橋：会社としても、新しいテクノロジーをポジティブに活用するカルチャーがあるのでしょうか。これだけAIの発信が多い会社も珍しいと思っています。
熊谷：そうですね。カルチャーの一つであるエンジニア主導のハッカソンがあったおかげで開発の引き出しが増えたというのが弊社のパターンです。はじめてプロダクトに入れたときも、実はデータベース側のAI基盤を整えている段階でしたが、まずはクイックにやってみよう、というところで効果検証をしました。
荒井：まずハッカソンを毎年実施するというのは弊社のカルチャーの一つですし、かつ今回のハッカソンでは代表の及川からテーマとして生成AIの提案があったので、経営陣も組織としてもテクノロジーをポジティブに捉えている風土はあります。
M&Aは売り手企業さま・買い手企業さまのニーズの言語化がすごく難しい領域なので、入力情報や企業データの整備がとても重要です。生成AIに関しては、業界としても特にやる余地が多く、相性がいいのかなと思っています。
高橋：弊社エクスプラザも書類作成業務系のお問い合わせは多いですね。たくさんの情報をそろえなければいけないけれど、人間としては自然言語で埋めてしまいたい、といったような領域とは非常に相性が良いなという手応えは感じています。
