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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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プロダクトづくりが捗るエキスパートから学ぶFigma/FigJam実践活用術

デザインとUXの進化がもたらす金融プロダクトの未来──PayPayカード

プロダクトづくりが捗るエキスパートから学ぶFigma/FigJam実践活用術 第7回

 UI・UXの在り方が大きくサービス利用に関わる業種の一つが間違いなく金融ではないだろうか。今回Figmaでは、金融業界に焦点をあてたMeetupを開催した。3回にわたって、このMeeupで登壇した3社にフォーカスをあてて連載していきたい。第1弾のレポートとしては、PayPayカード株式会社のUI・UXデザイナーである江藤一弥さんとイ・ミンヨンさんをお招きし、デザインとUXの進化がどのように金融プロダクトの価値を向上させるのかをテーマにお話しいただいた。Figmaを活用したUX改善の具体的な事例と、デザイン駆動のプロダクト開発がどのように金融サービスの未来を形作るのかについて、イベントの内容を交えながら紹介する。

導入:FigmaがもたらすUI・UXの革新

 デザインの力が、プロダクトの競争力を左右する時代。

 直感的でスムーズなユーザー体験(UI・UX)の最適化は、もはや一部の業界だけの課題ではなく、ビジネス全体の成功を左右する重要な要素になっている。

 Figmaは、デザイナー、エンジニア、プロダクトマネージャーなど、多職種の関係者がリアルタイムでコラボレーションできるプロダクト開発のプラットフォーム。これにより、フィードバックの即時反映が可能になり、従来のワークフローを変革し、開発スピードとUI・UXの質を向上できると評価されている。

 特に、金融業界のように一見「デザインとは距離がある」と思われがちな分野でも、ユーザビリティの向上が顧客の信頼や利便性に直結することから、デザインの重要性が急速に高まっている。

 本記事では、その取り組みを通じて、金融プロダクトにおけるデザインの価値と、組織全体でUXを向上させるためのポイントを探っていく。

PayPayカードのUX戦略

 PayPayカードは、店頭のタッチ決済やオンライン決済に対応するクレジットカードで、PayPayアプリと連携することで利便性が向上する。カード利用によってPayPayポイントをより多く獲得できる点も特徴だ。

 また、PayPayカードを登録することで利用できる「PayPayクレジット」は、PayPay加盟店でのQRコード決済にも対応。カードおよびクレジットの利用履歴は、PayPayアプリ内の「カードミニアプリ」で一元管理できる。その「カードミニアプリ」のUI・UX設計をPayPayカード株式会社が担っている。

「PayPayアプリ」から遷移する「カードミニアプリ」のUI・UX設計を担当
「PayPayアプリ」から遷移する「カードミニアプリ」のUI・UX設計を担当

 「『払うを自由自在にする』をミッションに掲げ、PayPayと一体となって、ユーザーファーストなキャッシュレスサービスを目指しています」とUI・UXデザイナーの江藤さんは言う。

 しかし当初は金融サービス特有の専門用語や、従来のキャッシュレス決済の複雑な仕組みが、一般のユーザーにとってハードルとなっていることが課題だった。

デザイン組織のスケールアップ

 そこでPayPayカードで導入されたのが、ワーキンググループ(WG)という独自の取り組みだ。2022年にCXO室を設立し、事業の大部分を社内のデザイナー主導で進められる体制を整えてきた。現在、UI・UXデザイナーは27名、デザインエンジニアは18名が在籍し、両者が密に連携しながら、高品質なUI・UXのスピーディな実現を目指している。

PayPayカード株式会社は、CXO室の設立(2022年)を皮切りに、デザイン組織のスケールアップを推進。2023年には組織の拡大・改変を経て、現在ではプロパーのデザイナーが主導する体制を確立し、インハウスデザインによる事業貢献を強化している
PayPayカード株式会社は、CXO室の設立(2022年)を皮切りに、デザイン組織のスケールアップを推進。2023年には組織の拡大・改変を経て、現在ではプロパーのデザイナーが主導する体制を確立し、インハウスデザインによる事業貢献を強化している
PayPayカードのCXO室はデザインと技術を融合し、プロダクト開発とユーザー体験の向上を推進している
PayPayカードのCXO室はデザインと技術を融合し、プロダクト開発とユーザー体験の向上を推進している

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ワーキンググループで行うユーザーファーストなデザインアプローチ

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この記事の著者

谷 拓樹(Figma Japan株式会社)(タニ ヒロキ)

Figma Japan株式会社デザイナーアドボケート。中小企業向けのSaaS、フリーランスでの受託、起業やスタートアップでの開発チーム立ち上げを経験。Webのフロントエンド開発や、UI・UX設計をおこなう。現在はFigmaのマーケティングやリソースの設計・開発に取り組んでいる。またデザインシステムに...

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