導入:FigmaがもたらすUI・UXの革新

デザインの力が、プロダクトの競争力を左右する時代。
直感的でスムーズなユーザー体験(UI・UX)の最適化は、もはや一部の業界だけの課題ではなく、ビジネス全体の成功を左右する重要な要素になっている。
Figmaは、デザイナー、エンジニア、プロダクトマネージャーなど、多職種の関係者がリアルタイムでコラボレーションできるプロダクト開発のプラットフォーム。これにより、フィードバックの即時反映が可能になり、従来のワークフローを変革し、開発スピードとUI・UXの質を向上できると評価されている。
特に、金融業界のように一見「デザインとは距離がある」と思われがちな分野でも、ユーザビリティの向上が顧客の信頼や利便性に直結することから、デザインの重要性が急速に高まっている。
本記事では、その取り組みを通じて、金融プロダクトにおけるデザインの価値と、組織全体でUXを向上させるためのポイントを探っていく。
PayPayカードのUX戦略
PayPayカードは、店頭のタッチ決済やオンライン決済に対応するクレジットカードで、PayPayアプリと連携することで利便性が向上する。カード利用によってPayPayポイントをより多く獲得できる点も特徴だ。
また、PayPayカードを登録することで利用できる「PayPayクレジット」は、PayPay加盟店でのQRコード決済にも対応。カードおよびクレジットの利用履歴は、PayPayアプリ内の「カードミニアプリ」で一元管理できる。その「カードミニアプリ」のUI・UX設計をPayPayカード株式会社が担っている。

「『払うを自由自在にする』をミッションに掲げ、PayPayと一体となって、ユーザーファーストなキャッシュレスサービスを目指しています」とUI・UXデザイナーの江藤さんは言う。
しかし当初は金融サービス特有の専門用語や、従来のキャッシュレス決済の複雑な仕組みが、一般のユーザーにとってハードルとなっていることが課題だった。
デザイン組織のスケールアップ
そこでPayPayカードで導入されたのが、ワーキンググループ(WG)という独自の取り組みだ。2022年にCXO室を設立し、事業の大部分を社内のデザイナー主導で進められる体制を整えてきた。現在、UI・UXデザイナーは27名、デザインエンジニアは18名が在籍し、両者が密に連携しながら、高品質なUI・UXのスピーディな実現を目指している。

