LT3:戦略を「動かす」PMに必要なリーダーシップ
最後に登壇した坂上氏は、プロダクトマネージャーとして戦略を実行に移す際に必要なリーダーシップとは何かについて語りました。戦略が「絵に描いた餅」になってしまう要因をひも解きつつ、実行に必要なステップをどう刻むか、そのためにPMが果たすべき役割とは何かを自身の経験に基づいて示しました。
時間と状態の「正しい」認識合わせ
「戦略にストーリーがない」「目的があいまい」「成果指標が抽象的」──こうした状態では、そもそも戦略とは呼べません。坂上氏が問題視するのは、それ以前の、戦略が「ちゃんと存在している」にも関わらず、現場でうまく実行されないという状況です。
その大きな要因として坂上氏が挙げたのが、「戦略と現状の差分を埋める具体的なアクションがイメージできていないこと」です。戦略の完成度ではなく、「戦略をどう動かすか」というプロセスの具体性こそが問われていると語ります。

自ら動くPMが、組織の実行力を生む
そして、最後に語られたのが「リーダーシップ」の本質です。
「戦略を描いたPM自身が、その戦略を最も深く理解している。であれば、そのPMこそが最初に動くべき存在である」と坂上氏は語りました。現場任せにするのではなく、自らが動いて差分を認識し、プロセスを分解して、仮説を提示する。そうした「先頭に立つ」リーダーシップが、周囲の巻き込みと実行力を生み出していくのです。

総括
「戦略実行を成功させる鍵は、『正しい認識』と『適切な分解』、そして『自ら実践するリーダーシップを持つこと』である」と語った坂上氏。戦略をただ語るのではなく、実行の先頭に立つこと──その姿勢こそが、戦略を動かし、組織を動かす第一歩となることを参加者に向けて伝えました。
まとめ
今回のPM LT Nightでは、「プロダクト戦略を実行するために必要な実践知」が多角的に語られました。登壇者たちの話から共通して見えてきたのは、戦略は描いた時点では未完成であり、継続的に問い直し、組織全体で「学習」しながら育てていくものだという認識です。
特に印象的だったのは、以下の3つのポイントです。
- 顧客起点の一次情報を継続的に収集・共有すること
- 戦略を抽象から具体へ翻訳し、ストーリーとして伝えること
- 検証と修正を前提としたサイクルを仕組みとして設計すること
これらを通じて、戦略が組織の隅々まで「生きた判断軸」として機能するようになるのです。プロダクトマネージャーにとって必要なのは、優れた戦略そのものではなく、それを現場に根づかせ、進化させ続けるための「仕組み」と「伝える力」。今回のセッションは、その本質をあらためて照らし出す機会となりました。