アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、ストランド・パートナーズとの協力によって、日本における1000名のビジネスリーダーと1000名の一般市民を対象に実施した調査「日本のAIの未来を切り拓く」の結果をまとめたレポートを、9月2日に発表した。
同レポートによれば、日本における企業の72%はAIを用いた効率化やプロセス合理化といった基本的なユースケースに焦点を当てており、新製品開発や産業破壊といったイノベーションには至っていない。日本企業のAI導入が中間段階に進んでいる企業は7%に留まっており、AIが単なるツールではなく、製品開発、意思決定、ビジネスモデルの中核となるもっとも変革的な段階に到達しているのはわずか13%だった。
一方、日本のスタートアップは特に熱心かつ革新的にAIを導入し、最先端の用途で活用しており、すでにAIを導入している日本におけるスタートアップの36%が、完全に新しいAI機能を搭載したAI駆動型製品を開発するとともに、その技術の可能性を最大限に活用している。
しかしながら、AIを導入している大企業のうちAI駆動型の製品やサービスを提供しているのは11%に過ぎず、包括的なAI戦略を持っている企業は8%に留まった。
AI駆動型製品を開発・活用している機動的なスタートアップは、日本のイノベーション経済を促進してAIリーダーシップを巡る世界的な競争の重要なプレーヤーとなる可能性を秘めている。一方で、このようなスタートアップと大企業とのイノベーションギャップからは、テクノロジー主導のスタートアップがより急速にイノベーションを起こし、大企業を上回るペースで進む「二層経済」が出現するリスクもうかがえる。
同レポートでは、日本の企業がAIの採用や拡大を妨げているおもな理由として、熟練した人材の不足を挙げる。多くの企業が技術とビジョンは持っている一方で、それを実現する人材を見つけられていない。将来的に、AIリテラシーは37%の企業で必要とされると見込まれるものの、現在の従業員のスキルセットに対して準備ができていると感じている企業は25%に留まっている。
あわせて同レポートによれば、日本の提案されているAI法に関する議論を理解するとともに、その法制がどのように機能するかを説明できる企業は14%に過ぎず、日本の企業は予算の22%をコンプライアンス関連のコストに費やしており、47%が今後3年間でその数字が増加すると予想する。
さらに同レポートでは、日本の企業におけるAIの採用や拡大に対する障壁を克服して「二層経済」の出現を避けるべく、スタートアップと大企業全体でAIの潜在力を完全に解放するための、以下の3つの優先行動を提案している。
- AI主導のイノベーションと成長を推進するデジタルスキルを持つ労働力を開発すべく、業界特有のデジタルスキルプログラムへの投資と構築を行う
- すべての企業でより深いAI採用を推進すべく、予測可能でイノベーションフレンドリーな、日本の成長促進型規制の明確な展望を確立する
- 特に医療や教育分野における公共セクターのデジタル変革を加速して、公共調達を通じてイノベーションを推進する
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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